「英単語は3年生に上がる前に終わらせた方がいい」「3年の夏以降は、もはや単語をやる時期ではない」などと学校や塾で言われます。
先生によって、指示する「時期」に違いがあり、誰の話を信じればいいのかわかりません。また、秋冬の受験直前期は、やはり単語学習ではなく長文などに時間を割いた方がいいのでしょうか?
単語学習に「卒業」はありません。
むしろ、やればやるほど不足に気づき、さらなる勉強を余儀なくされるのが単語学習です。
語彙力は、語学の根幹になる重要な要素です。
それでは、「受験」というタイムリミットがある勉強の中では、どのように単語学習を進めていけば良いのでしょうか。
1. 単語→長文の順序は鉄則
英語の勉強を始めるに当たって、まずやらなくてはならないのが単語の学習です。これは、長文の学習に先立つことはもちろん、文法の学習よりも先に行なうべきものです。
なぜかというと、単語の意味を知らなければ、そもそも英文の意味が理解できず、様々な英文の共通法則である「文法」学習の効率も下がってしまうからです。
文法を学習する際にも、例文を確認しますよね?
その時に、その文で使われている単語のほとんどがわからず、ひとつひとつ辞書で調べるなんてことをしていたら、とてつもなく時間がかかってしまいます。
長文なんて、それ以上に効率が悪いということは、容易に想像できると思います。一つの長文を読み切るのに2時間も3時間もかけていたのでは、「読解力」のめざましい向上も望めません。
だから、辞書を引く手間を省くために、先に頭の中に辞書を作ってしまえばいいのです。市販の単語帳を一冊覚えきるだけで、その先の文法や長文の学習効率が、格段に上がることでしょう。
2. 単語学習に終わりはない
しかし、「ひとたび単語帳を仕上げてしまったら、そこで単語学習はおしまい。あとは長文演習をやっていればいい」ということにはなりません。
外国語の学習は、単語に始まって単語に終わります。
試しに、英語がものすごく得意な知り合いに聞いてみてください。そういう人たちはみな口をそろえて言うはずです。「自分も語彙力はまだまだだ。日々語彙力の向上に努めている」と。
文章(英語長文)は結局、「単語」や「熟語」を、「文法(規則)」に則って並べたものにすぎません。もちろん、それらの構造を分析する「読解」の技術は、別のものとしてありますが、それはとても高レベルであり、基礎が固まってから手を出すべきものです。
長文問題の演習を、単語や文法から切り離して、「長文演習」という独立したジャンルの勉強だと捉えている人が多いですが、その認識は改める必要があるでしょう。そして、「長文演習」などというふわっとした定義の勉強はやめ、「語彙力強化」「文法」「文構造把握」といった、焦点を絞った勉強に切り替えていかなくてはなりません。
共通テスト(旧センター試験)レベルの問題を時間内に、ある程度の正答率で解くためには、まずは大学受験レベルの単語帳を一冊仕上げなくては話になりません。
それと同じように、難関大の過去問演習に移るのであれば、そのレベルの語彙力をつけてから挑む必要があります。
共通テストの時と変わらぬ語彙力で難関大の長文問題を解きにかかるのは、初期装備のままボス戦に挑もうとするようなものなのです。
つまり、単語学習は、次なるステップに到達した際に、新たなるステージに進む実力があるかどうかを試してくる、チェックポイントのようなものなのです。
3. 受験直前期にすべき勉強
ステップアップをするたびに、新たに語彙力の増強を図る必要があるということを確認してきました。では、受験直前期は何をしたらいいのでしょうか。
多くの人が、「過去問演習」と答えると思います。たしかに、出題傾向を再確認することもとても重要です。ですが、それは具体的に、どこがどう本番の点数に結びつく勉強なのでしょうか。
それまでにもしっかりと過去問演習をこなしてきているのであれば、時間配分などはすでに対策ができているはずです。いまさらそれを再確認することに、そこまで大きなメリットはないのではないでしょうか。
むしろ、そうした直前期にこそ、単語学習が重要になってきます。
たった一単語、本文理解の鍵になってくる単語がわからなかったために、大問一つまるごと落としてしまうといったことも、十分にあり得る話です。
逆に、最後の最後まで貪欲に単語学習に時間を割くことで、直前に覚えた単語が活きて、取れなかったはずの問題を取れることだってあります。
その人の状況や英語力によって、勉強時間の配分は変わってくるでしょうが、英語の勉強に割く半分以上の時間を語彙学習に費やしても、けっして多過ぎるということはないはずです。
もっとも単純だからこそ、もっとも確実に「実力」につながるのが「語彙力」であり「単語学習」です。「単純=初歩的」と考えるのではなく、「単純=基盤となる」と捉え、ぜひ単語学習の意義について再考してみてください。
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