「化学」の勉強法・学習の悩みと解決策
受験科目に化学を選択した、選択しようか迷っている皆さん!
「物理より計算量少なそうだから……」「生物より暗記する量が少なそうだし……」「なんか実験とか面白そうだったから」などなど。
選択する理由は多岐に渡るのではないでしょうか。
選択してみたのは良いけど思ったのと違うし勉強法がイマイチわからない……
そんな方々のためにそもそも化学を勉強して何になるのか、具体的な勉強としてはどういったことをやっていけばいいのか、問題集は何が良いのだろうかといった疑問に化学科出身である筆者の実体験も交えながらこの記事でお答えしています。
とりあえず化学に関して困っていることがある方はご一読ください!
1."化学"と"科学"の違いとは?
"化学"と"科学"。
読み方はどちらも「カガク」ですよね。
そもそもこの二つの違いは一体何なのでしょうか。
答えを簡単に言うと「"科学"の中に"化学"がある」です。
簡単に言いすぎたので補足をすると、"科学"というのは体系化された知識・経験です。
すなわち科学は化学だけでなく物理や生物、広い意味では政治学や心理学などまで含んでいるということです。
科学は私たちが学んでいることの総称だったんですね……。
では化学とはいったい何を学ぶ分野なのでしょうか。
化学は物質を構成する原子や分子に注目し、物質相互間の反応を研究する分野のことです。
それを研究することで未知の物質の構成を解き明かしたり、謎の現象の原因を突き止めたり、新たな反応を発見して今あるモノよりも便利で使いやすいモノを生成することができたりします。
仮に化学という分野がなかったら今の私たちの生活はないでしょう。
”日常を変える力を持った分野”それが化学です。
やや調子づいた言い方をしてしまいました……。
よく理系と言われると白衣を着てフラスコを持ち薬品を混ぜるイメージをされますがわりとあの通りです。
あの姿を見てかっこいいと感じる方は是非化学を学んでいただきたいところです。
次の章では受験における化学という科目の特徴を説明します。
2.化学という科目の特徴
化学は他の理系科目である物理や生物に対してどういった特徴があるのでしょうか。
化学は物理よりも計算の量が少なく、生物よりも暗記量は少ないことが特徴の一つとして挙げられるでしょう。
「えっ、いくら少ないとはいえ計算も暗記もやらなきゃいけないなんて大変…」と思った方もいるでしょう。
ここで化学のもう一つの特徴である“実験”が活きてきます。
暗記に関しては実験と紐づけることで物質の変化を視覚的に経験的に覚えることができます。
経験的に学んだことは忘れにくいです。
さらに授業⇒実験⇒レポートの三段階の学びで流れをつかみづらい反応も簡単に覚えることができます。
多くの高校では実験を授業のカリキュラムに組み込んでいますが、自分の学校では実験はしないという方もネットに実験の動画が上がっているのでそれを見ながら勉強していただければ問題ありません。
私の通っていた高校では毎週化学実験を行うことで授業でやったことを改めて学び、レポートを書くことで深い理解、関連知識の獲得を促していました。
また、基本的な反応を抑えてしまえばあとはそのパターンに当てはめていくだけです。
基本的なことを漏れなく自分の知識にすることで応用問題への対応ができます。
入試問題の中には一見学んでいないような実験が問われることがありますが、本質的な理解ができていればそんな問題にも対抗することができます。
計算に関しても多くの人が躓くのは反応の流れを理解しきれていないことが原因の場合が多いです。
化学は計算自体はそこまで難解というわけではありませんが、物質の構造や変化・反応の流れなどを追えないと解答できない問題が多いです。
まず問われている現象はどのようなものなのかを掴むのかが重要です。
次の章では具体的な勉強方法を理論・無機・有機の3つの分野に分けて解説します。
3.化学の成績を向上させるコツを伝授
理論化学は無機・有機でも使うので絶対に外せません。
無機や有機で理解しきれないという場合は理論分野に立ち返ってみると意外とすんなり理解することができたりします。
それくらい理論化学は重要で欠かすことができない分野です。
ここをしっかり押さえることで化学の点数は伸びていくでしょう。
無機化学は暗記する量が非常に多い分野です。
よく問われる形としては様々な金属が溶けている溶液に試薬を加えていきイオンを1つずつ分離させ行った操作からイオンを同定する「系統分析」という問題があります。
知識の穴があった場合、そこを突かれて失点していくということが想定されます。
知識を穴がないように勉強していかなければなりません。
有機化学は一言でいうとパズルです。
よく出題されるのは「構造決定」という問題です。
基本的な知識さえあれば問われていることと上手く結びつけて組み立てていくことで解くことができます。
やらなければいけないのは基本的な知識を身に付けることとそれを使いこなす力を身に付けることです。
以上の3分野で有効なのが演習をしっかり積むことです。
単純に知識を問われる問題に関してももう覚えたという分野に本当に穴がないのか確認する上でも必要ですし、身に付けた知識を使いこなす練習の意味でも演習は欠かせません。
では演習はどのようにやっていけばいいのか。
具体的なやり方を次に記しますが、あくまでも一例ですのでもし合わないなと思ったら自分に合うやり方をみつけていってください。
- ①教科書・参考書の勉強する分野を読み理解に努める。
理解しづらいと思ったときは図説やネットで図や実験を見てイメージを掴む。 - ②自分のレベルに合った問題集を使って演習する。間違えた問題には印をつけておくこと。
- ③間違えた問題について教科書・参考書で知識の確認を行う。
理解できたなと思ったら次の単元へ。(全ての単元が終わるまで①~③を繰り返す) - ④間違えた印がついている問題を中心に関連問題を解いていく。
間違えたら印をつけるのを忘れずに!
苦手な単元が一目瞭然になります。
もし2度以上間違えていたら理解不足が考えられるのでどこが理解不足で解けなくなっているのか分析してみると良いです。
自分だけの力では無理!というときは周りの人に頼るかより詳しい参考書を読んでください。
(全ての問題ができるようになるまで④を繰り返す)
これをやっていただければ知識に穴ができづらく、知識の使い方も身に付きます。
勉強法で困っている方がいたらこの方法でやってみてください。
裏技に頼るのではなく、地道に演習を積んでいくのが高得点を取るための近道です。
4.おすすめの参考書をご紹介
この章では化学を勉強していく際におススメできる参考書を紹介していきます。
人によって合う合わないがあると思うので実際に中身を見て使用するかしないか判断していただけたらと思います。
4-1. 入門~センターレベル
インプット
- 学校で使用している教科書
- 間違いなく一番オススメです。まずは教科書を読み込んで基本概念を理解しましょう。
- 『岡野の化学が初歩からしっかり身につく』シリーズ
- 化学がほとんどできないという方向けなので、教科書で理解できる人には物足りなく感じるかもしれません。理論・無機・有機の3部シリーズです。
アウトプット
- セミナー化学(第一学習社)・リードα(数研出版)
- 学校の指定問題集。基礎的な問題のみを集めた良問揃いの問題集です。網羅性があるため、この1冊をやりこめば化学の土台は問題ありません。
4-2.センター~MARCHレベル
インプット兼アウトプット
- 鎌田の化学講座シリーズ(旺文社)
- 本質的かつ膨大な量の情報が上手くまとめてあります。アウトプットもできるので知識の定着ももんだいありません。この参考書を一通りやって問題演習をこなしていくのがオススメです。
アウトプット
- 化学重要問題集(数研出版)
- どのレベルにも対応できる、良問揃いの1冊です。入試問題を取り扱っておりこの1冊が問題なくできるようならば早慶・難関国公立も狙えます。
4-3.早慶〜東大・医学部レベル
インプット
- 化学の新研究 (三省堂)
- 化学を勉強しつくした、さらなる知識を獲得したい、化学を愛している方向けです。詳しい知識を知りたいときに辞書的に使うのがオススメです。大学で学ぶ内容が入ってたりします。
アウトプット
- 化学の新演習(三省堂)
- 化学の新研究の問題集版です。この問題集を一通りやりつくしたらどの大学であろうと合格点・高得点が狙えます。
5.最後に
今も昔も私は化学が好きです。
そう言える要因は何と言っても実験です。
学んだ反応や現象を実際に自分の手で起こして目で見ることができる。
実験はいとも容易く勉強嫌いの私の心をつかみました。
確かに実験のレポートを書くのは面倒だと思ったこともありますが、ただやって終わらせずにやったことの振り返りができて自分の知識が増えたように思えたのでそこまで苦ではありませんでした。
生物や物理にも実験はありますが目の前で大きくわかりやすく反応を起こすのは化学でしたし、小中高と実験といえば化学みたいなところがあったので化学のことがどんどん好きになっていきました。
私が化学の道に進もうと思ったのは実験に魅せられたからといっても過言ではありません。
勉強するのは嫌いなはずなのに化学を学ぶのはすごく楽しかったです。
ただ楽しい、将来やりたいことに繋がるから、きっかけは何でも良いと思います。
好きなことに取り組むのは労力を労力だとは感じません。
なにか知ることで興味が湧き、好きになるきっかけになります。
これはどの科目にも勉強以外のことにも当てはまります。
この記事では化学のことを紹介してきました。
少しでも化学のことを知り、興味を持ち、好きになるきっかけを生み出せたのであれば嬉しいです。
興味を持ったら是非インターネットや本でもっと調べてみてください。
きっとあなたを虜にする化学の世界がそこには広がっていることでしょう。
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