名問の森など、物理のオススメの参考書と使う順番や、具体的な使い方・復習の方法を教えて欲しいです。
私は今高校2年生で、東大を目指しています。
塾に通っていないので自分で問題集を進めようと思っていますが、どの問題集をどのような順番で使えば良いのかわかりません。
また、分野ごとに固めていくのがいいのか、それとも何周もする方がいいのか、なども教えてください。
物理って自学自習が大変な教科ですよね。
概念がわからないと、どうしても公式を覚えるだけの勉強になってしまいがち。
でも物理をマスターする上で問題演習は欠かせないものです。
そこで、物理の問題集や参考書はどれを使えばいいのかわからない、どうやって使えばいいのかいまいちよくわからないという高校生(や物理学習に対して意欲的な中学生)に向けて、オススメの効果的な使い方を伝授したいと思います。
なお、特に旧帝大や医学部、早慶等の難関校を志望する方を主な対象として書いておりますことをご了承ください。
1. どの問題集を使うのが良いの?
ひとえに物理の参考書・問題集と言っても世の中には数多くの書籍が出回っているわけですが、その中でも「これはやっておいた方が良い!」というものをいくつかご紹介していきたいと思います。
- セミナー物理(第一学習社)
難易度★☆☆☆☆~★★★☆☆ おすすめ度★★★☆☆ -
多くの高校で傍用問題集として配られるのがこちらのセミナー物理。
これを読んでいる方の中にも使っている、使ったことがあるという人は多いでしょう。
さて、そんなセミナー物理ですが、多くの高校で配られるだけあって基礎を固めるのには非常に良い問題集であると言えます。
特に「プロセス」の完成度はとても高いと言われており、他の追随を許さない圧倒的な問題量がそれを物語っています。基礎知識について漏れがないかを確認するうえではうってつけと言えるでしょう。
まずは「プロセス」「基本例題」「基本問題」に触れていきましょう。
それぞれの分野・問題に対し、「手が止まることなく一定のペースでスラスラと解ける状態」を目指して本書を活用していくことをおすすめします。使い方ですが、「プロセス」「基本例題」「基本問題」「やや手間取った」「回答に自信がないと感じる」問題には「△」を付け、「全く解けなかった」問題には「×」を付けておき、「△」の問題については「具体的にどこの部分に手こずったか」「どこの部分に自信を持てなかったか」を合わせてメモをしておきます。「×」が付いた問題については、出来る限りで良いので「どこまでは分かったのか」「何を見てから(あるいは考えてから)分からなくなったのか」をメモしておきます。
基礎を固める目的で使うことが多いため、「△」や「×」を徹底的に潰しておく必要がありますが、怖いのは「分かったつもり」で終わることです。解説を読み、あるいは先生に質問をして「分かったつもり」で終わるのではなく、「次に自力で再現できるか」を追求するためにも、「自分はどこまで出来るのか」を出来る限り明確にすることが効果的です。なお、本書は問題が多いせいか、一つ一つの問題に対する解説があまり丁寧ではなく、自習していると「なぜこうなる!?」とつまづいてしまうことが多いのも事実です。ぜひそういった場合も、上記の注意点を意識しながら、先生に積極的に質問をして進めていきましょう。
- 物理のエッセンス 力学・波動 / 熱・電磁気・原子(河合塾シリーズ)
難易度★★☆☆☆ おすすめ度★★★★☆ -
「物理が本当に苦手で......」という人にうってつけなのがこの本。
問題も割と収録されていますが、確認問題という印象が強く、どちらかというと参考書の部類に入るでしょう。
内容も、基本的な構成は「導入解説」→「解法の提示」→「例題と解説」という流れになっており、勉強をする人の「頭の中の疑問」を解消する流れを意識したまとめ方になっています。その他にも「Miss」「ちょっと一言」「High」「Q&A」「知っておくとトク」など、様々な角度からの情報提供もしてくれており、語り口調で書かれていることもあって、"物理アレルギー"の人でも読みやすくなっています。
レベルとしては、物理の勉強を始める人~共通テストで高得点を狙いたい人、といった程度でしょうか。特に「物理への苦手意識に寄り添いながら進められる参考書が欲しい」という人であれば、ぜひ手に取ってみると良いかもしれません。
なお、本書の使い方ですが、「順番に前から読む」ことで理解が進んで行く(授業を受けているような感覚に近いかもしれません)ことを前提にしています。ですから「読み飛ばし」をよくしてしまう人にとっては「順番に前から読むのが退屈...」となってしまう危険性があります。インプットを整理する教材として優秀なため、たとえば、- 「自分なりの解説を作ってみる」
「先生になり生徒に解説をする」つもりで
「分かりやすい解説を板書する」よう意識して
ご自身のノートに「解説」を書いてみてください - 本書の解説と見比べて、自身の解説のどの部分に欠落があるかを確認する
- 欠落があった部分を、実際に学校や塾の先生に質問しに行く
といった勉強方法を試してみると良いかもしれません。
前にも書きましたが、大事なことは「再現できる力を付けること」です。まずはここに書かれた内容を「再現」できるよう、丁寧にインプットを進めてみましょう。ちなみに筆者は今は高校物理の指導も行っていますが、昔は物理が大の苦手だったためこれを読んである程度克服しました。
2冊に分かれているのですが、いずれも薄いのでそれほど時間はかからずに1周できると思います。
河合塾シリーズの物理の問題集は『物理のエッセンス』→『良問の風』(後述)→『名問の森』(後述)の順に進むとスムーズにレベルアップできるようにできているので(ちなみに同じ方が監修されています)、『良問の風』や『名問の森』をやろうと思っている人であれば、「本当に苦手...とはいかないまでも、少し自信がないな...」くらいに感じる人であっても、エッセンスをやっておくと十分に効果があると思いますよ。 - 「自分なりの解説を作ってみる」
- 良問の風 物理 頻出・標準問題集(河合塾シリーズ)
難易度★★★☆☆ おすすめ度★★★☆☆) - 昔は『物理のエッセンス』と『名問の森』しかなかったのですが、この二つの問題集にはあまりにレベル差があったことから、中間的な位置付けとして作られたのが『良問の風』です。
おすすめ度はエッセンスより低くしてありますが、時間に余裕のある人はやった方が良いでしょう。
エッセンスに比べると問題の難易度は上がっており、ただ単に公式に当てはめて終わり、というような問題はほぼないと言ってよいです。
本書の特徴は、(名問の森もそうですが)解説が非常に丁寧であること。
分野ごとの問題数が少ない分、一つ一つの問題に対する解説が充実しているため、自習向きと言えます。
難易度の高さと良質な問題ゆえに、基礎が固まっていない状態だと本書のポテンシャルを生かし切ることは難しいため、まずは先に紹介したような問題集や参考書を進めてみてください。
使い方ですが、上記の『物理のエッセンス』でもお伝えした「△」「×」を付けながら進める、という方法を実践してみてください。また、最低でも2周、できれば3周は反復しておきたいところです。
また1点、各問題にテーマが書かれていないため「こういう問題をやりたい」となった時に若干探しづらいところは玉にきずです。
良問の風を完璧にすれば、早慶レベルの問題にも十分太刀打ちできるでしょう。 - 名問の森 力学・熱・波動Ⅰ / 波動Ⅱ・電磁気・原子(河合塾シリーズ)
難易度★★★★☆ おすすめ度★★★★☆ - 良問の風のもう一段階上のレベルがこの名問の森。「名門」ではなく「名問」です。良問までを一通りこなせている人ならそこまで苦労なく進めていけるでしょうが、掲載されている問題は難関大の入試で出題されたものが多く、良問ほど一筋縄ではいかない問題が多いです。ですから、基礎を固め、良問に取り組みきれた人が、その次に取り組むものとして、本書を手に取ると良いかなと思います。なぜか「波動」だけ2冊またいでしまっていてややこしいのですが、物理をちゃんと固めるなら結局2冊ともやることになるので問題ありません。また、良問の風と同じく解説が非常に丁寧です。名問の森がほぼ解けるという状態まで持ってくることができたら、旧帝大や医学部の問題にも十分太刀打ちできるでしょう。
- 物理重要問題集(数研出版)
難易度★★★★☆ おすすめ度★★★☆☆ - レベル的には名問の森とほぼ同じくらいなのがこちらの物理重要問題集。
通称「重問」。
化学や数学にもありますが、それの物理バージョンです。
問題量は十分であり、これ一冊を完璧にすれば旧帝大や医学部の問題にも十分太刀打ちできるでしょう。
おすすめ度の点で名問の森に負けているのは、解説が若干質素であるためです。
解説に見やすさは求めない、という人は重問の方が合うかもしれないので、書店で手に取って比べてみると良いでしょう。 - 難問題の系統とその解き方(ニュートンプレス)
難易度★★★★★ おすすめ度★★☆☆☆ - 受験物理の問題集の中で最も難しいと言っても過言ではないのがこちらの難問題の系統とその解き方。
通称「難系」。
あまりに難しい上に、解説も割と粗雑であり、何よりその分厚さに圧倒され手を出さない高校生がほとんどです。
東大、京大や私立医学部を目指す人で、「物理で点を稼ぎたい!」という人以外は手を出さないのが無難です。
2. どうやって問題集を進めていけばいい?
この項では上で紹介した問題集をどのように使えばよいか、どの順番で使うのがよいかをお教えします。
- セミナー物理、物理のエッセンス
- 基礎固めが基本的な用途になるので、まずは基本問題だけを全分野やっていきましょう。
応用問題に進みたくなる気持ちもわかりますが、基礎がなくては応用をやっても無意味なのでそこは堪えてください。
基本問題をやっていく中でどうしても苦手な分野というのはでてくると思うので、そこは教科書を再度読み込んだり、前述の物理のエッセンスで確認したりして補いましょう。
基本問題が8.5~9割程度解けるくらいになったら応用問題もやってみましょう。
結構解けるようになっているはずです。
応用問題が終わったら、良問の風、名問の森、物理重要問題集のいずれかに進みましょう。
個人的には、かなり要領がよくないといきなり名問や重問は厳しい気がするので良問くらいがよいと思います。 - 良問の風、名問の森、物理重要問題集
- ここまで来た人は基礎はほぼ固まっているものとします。
いずれもセミナーほど問題量はないので、少なくとも2周はしたいところです。
1周目で解いてみたときに、できたら○、途中までできたら△、ほぼできなかったら×と記し、横に日付も添えておきましょう。
あとで復習するときに非常に役立ちます。
○や△や×は小問ごとにつけてもよいかもしれません。
良問の風を挟んだ人は、続いて同じことを名問の森でもやってください。
解説を読んでいてわからないところが出て来た場合は先生に聞いてすぐに解決しましょう。
抱え込んでいるのが一番よくありませんし、質問することで記憶にも残りやすくなります。
3. 最後に
上で紹介した使い方などはあくまで一例ですが、私が蓄積して来たノウハウの中で最も効果的なものを皆さんにご紹介しました。
この記事をぜひ今後の物理の学習に役立ててみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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