古文の長文になると読めないのはなぜ?古文を正しく読むための三種の神器とは。

古文学習のポイント
古文の長文になると読めないのはなぜ?古文を正しく読むための三種の神器とは。

学習院大学を目指して勉強中です。古典について、私は古典単語と文法の勉強は、最近ほぼ終わったのですが、いざ古文の長文問題に取り組もうとすると内容がつかめず、設問に答えることが難しいです。
どうすれば読めないのを克服し、またどうすれば設問に答えられるようになるのでしょうか?単語をもっと覚えるべきなのでしょうか?

この悩み、かなり多くの人が共通して抱える悩みだと思います。
「古文単語も文法も終わった。さぁ、いよいよ長文だ!きっとここまでの文法を駆使すれば読める!...あれ?読めない......多分単語がわからないからだ!......あれ......辞書使っても読めない......わからない......」
多くの人が1度はこう思ったことでしょう。
むしろ最初からスラスラ読めた人の方が少ないはず。

では、なぜ古文の長文はあんなにも読みにくいのでしょう?
それは、古文特有の「文章の書き方」にあります。
そこで今回は、古文特有の文章の書き方と、その上で古文が読めるようになるための勉強法をお教えします。

1.古文の長文はなぜ読みにくい?

これ、実は答えはすごく単純なんです。
それは日本語の特性に原因があります。
そう、「主語の省略」です。

皆さんも、普段会話をしている時に主語をよく省略していませんか?
例えば以下の文章。
「先日、渋谷に買い物へ行きました。すると、なんと小学校の同級生と10年ぶりに再会したのです!前よりずっと綺麗になっていて、本当に驚きました。近くのカフェに行って昔話に花を咲かせました。」

これに正しく主語を補うとこうなります。

「先日、(私は)渋谷に買い物へ行きました。すると、なんと小学校の同級生と10年ぶりに再会したのです!(彼女は)前よりずっと綺麗になっていて、(私は)本当に驚きました。(私と彼女は)近くのカフェに行って、昔話に花を咲かせました。」

でも、主語がなくても違和感なく読めますよね。少なくとも意味不明なところはないはず。

こんな風に、日本語では主語をよく省略します。英語や漢文だとこのようなことはほとんど起こりません。
これは古文も同じ。
そしてこれが、多くの人が古文を読めなくなる最大の原因なのです。

古文を読んでいて、「あれ、この動詞の主語誰だろう...,?」となる。
これ、みなさんも経験ありませんか?

実はこの時、主語が文中に書かれていないことが多いんです。
だから自分で補うしかない。
しかし、現代の日本語ならともかく、時代背景も言葉もよくわからない古文で、主語をすぐに補うのは至難の技。
だからみんなつまずくんですね。

では、ここから本題。
このような特性を持つ古文の長文、これを正しく読めるようにするには一体どうすればいいんでしょう?

2.古文を正しく読むための三種の神器

ここからは、古文を正しく読むために大切な3つをお教えします。

①敬語

これがものすごく大事。
意外かもしれませんが、古文で1番大事なのは敬語です。
実は、省略された主語の判断をする時に最も使えるのが敬語。
古文で出される文章は基本的に平安時代~鎌倉時代が中心。
その中でも平安時代が最も多いですが、この平安時代、実はかなりの身分社会でした。
貴族の中にもランクがあり、厳格に身分が分けられていた時代なのです。

つまり、古文における多くの登場人物にとって、「目上の人も下の人もいる」状態が当たり前だったということ。
ということは、正しく敬語を使うことも当たり前だった、ということです。

ここまでくるとピンときませんか?
そう、省略された主語は、「登場人物の身分の上下」と「使われている敬語」から補えることが非常に多いんです!
そのために敬語は絶対に必要。
単語帳に載っている敬語は完璧にしておきましょう。

②助動詞

敬語の次に大事なのが助動詞。
助動詞は動詞に意味を付け加えるものですから、助動詞がわかっていないとその文の意味を正確に捉えられなくなってしまいます。
助動詞も完璧にしておきましょう。
特に判別しづらいものに気をつけて。

③古文常識

簡単に言えば「平安時代の宮中に関する知識」です。
これがあると身分の上下や状況把握がものすごく楽になります。
これもしっかり身につけましょう。
「マドンナ古文常識217」といった古文常識に関する書籍もいくつか出版されているようですので、自分にあった参考書を探してみると良いかもしれません。

では、この3つを使ってどのように勉強すれば良いのでしょうか?
次はその説明を。

3.古文の長文読解

ではここから、古文の長文読解を正確に行うための勉強法をお教えします。

①まずは敬語と助動詞を完璧にする

これが曖昧だと読むこともままなりません。
まずはこの2つを完璧に。

②長文の敬語と助動詞、人物関係にチェックをつける

次に長文で読む練習です。
まずは文中の敬語と助動詞にチェックをつけましょう。
また、登場人物の人物関係の把握も忘れずに。

③②を使って主語を把握する

②ができたら次は動詞の主語把握です。
助動詞からその動作のニュアンス(過去なのか現在なのか、断定なのか推量なのか、はたまた意思なのか、など)をつかみ、敬語で主語の身分を理解します。
そして前後の文脈と人物関係を踏まえ、主語を確定させましょう。
これを全動詞で行います。
え、時間がかかりすぎるって?大丈夫、慣れればかなり速くできるようになりますよ。

④古文常識と照らし合わせながら、状況を整理する

最後に古文常識と文章を照らし合わせて、状況を整理しましょう。
きっと今までとは見違えるほど理解できるようになっているはず!

「単語がわからない」「主語がわからない」といった、本来語彙力や文法知識で攻略するべきものも、ストーリーからの類推で対処できてしまうことがあります。目の前の一文だけにこだわらず、視野を広く持ち全体を見渡すことで、文意の理解がより容易になるでしょう。
また、展開を読む力も重要です。物語の展開にはある程度パターンがありますから、「次はこういう展開になりそうだ」と予測しながら読み進めていくことで、読解のスピードが上がります。

「古文が読めない」という悩みを細分化してみることが肝心です。単語がわからないのか、省略されている箇所を頭の中で保管できないことが問題なのか、はたまた物語のストーリーがイメージできていないのか。まずは自分がどこで躓いているのかを自覚することが大切です。

あとは沢山の長文で②~④を繰り返しましょう。
最初はしんどいと思いますが、何回も繰り返すことでどんどん長文が読めるようになっていきます。継続は力なり、です!

4.古文の単語ってどこまで覚えるべき?

最後に、単語について少しお話ししておきます。
単語をどれだけ覚えれば良いのか、悩む人も多いかと思いますが、実は古文で覚えるべき単語数はそこまで多くありません。
市販の単語帳に載っている必須単語は大体250~300語程度。
実際、これぐらいで十分です。
大学受験における古文は、上の②~④ができていればこれぐらいの単語数で基本的に読めるようになっています。
気をつけるべきは「現代語と意味が違う頻出語」と「多義語」。
この2つは受験生がつまづきやすい分野なので、意識しておきましょう。

5.古文のオススメ参考書

最後にオススメ参考書です。

ステップアップノート30古典文法基礎ドリル (河合塾シリーズ)
助動詞、敬語といった古典文法を勉強するのにこれほど適したものはありません。
ドリル形式でとてもみやすく、解説もとてもわかりやすいです。
助動詞と敬語はこれが完璧にできればOK。
助詞や紛らわしい助動詞の判別の仕方も学習できます。
本当に素晴らしいドリルです。
マドンナ古文単語230 パワーアップ版: 別冊単語カードつき (大学受験超基礎シリーズ)
センターレベルに適した古文単語帳はこれ一択でしょう。
かなり単語が厳選されているため覚える語数も少なくて済みますし、1つ1つの単語に詳しい解説が付いていて、覚えやすくするための工夫が随所に施されています。
丸暗記が嫌いな皆さんには特にオススメ!

みなさんもこれらの勉強法を駆使して、古文の長文を得意にしてしまいましょう。

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