センター試験から共通テストに切り替わることで、数学の問題は具体的にどのように変わるのでしょうか。
また、それに対してどのような対策をしていけばいいのでしょうか。教えていただけますと幸いです。
2021年実施分から、従来のセンター試験がいわゆる新共通テスト(正式には大学入試共通テスト)に変わります。
試験の名称だけでなく、その出題傾向も大きく変わります。
本記事では、特に数学に絞って、新共通テストに向けてどのような対策をしていけばよいかを紹介していきます。
1.センター試験と共通テストの違い
新共通テストがどのような出題傾向がとられるかを知ることが対策の第一歩になります。
従来のセンター試験と比較しつつ、新共通テストの特徴を見ていきましょう。
センター試験と新共通テストの違いを端的に言うならば、センター試験は「公式や知識の活用」にフォーカスを当てているのに対し、新共通テストでは「公式や知識の活用」に加えて「公式や知識そのものに対する深い理解」にもフォーカスを当てています。
言い換えると、「公式・知識を使って計算できるか」に加え、「公式を証明できるか」や「公式や知識の意味を把握しているか」も問われます。
具体的には、新共通テストの試行調査の問題で、正弦定理の証明の穴埋め問題や相加・相乗平均の不等式の間違った使い方について考える問題などが出題されています。
従来のセンター試験であれば、正弦定理や相加・相乗平均の不等式を用いた計算が問われるところを、新共通テストでは公式の証明や意味の理解が問われています。
新共通テストの特徴として、「会話文形式」や「身の回りのものと絡めた形式」が含まれることも印象的です。
例えば、試行調査の問題では、三角比と階段の角度を絡めた問題や、データの分析と表計算ソフトを絡めた問題などが出題されています。無機的な出題が特徴のセンター試験に比べ、新共通テストでは対話を通して数学の応用を理解していく形式が追加されています。
もちろん、従来のセンター試験のように公式を用いた計算力を問う問題も出題されています。
以上をまとめると、新共通テストはセンター試験よりも幅広い能力を問われるため、相応の対策が必要になります。
新共通テストの試行調査の問題について、平成29年実施分と平成30年実施分の2年度分がインターネットで公開されています。
記事の最後に新共通テストの試行調査の問題とセンター試験の過去問のリンクがありますので、時間がある時に1年度分だけでも解いてみてください。自分が目指すべきレベルと自分がすべきことを知る良い機会になるでしょう。
2.本質を固めよう
前節で、新共通テストの特徴を紹介しました。
では、新共通テスト対策において具体的に何をすればいいのでしょうか?
前節でも説明したように、新共通テストからは「公式の活用」だけでなく「公式の証明や意味の理解」も問われるようになります。
したがって、「公式を使って計算をすること」に加え、「概念の意味を理解すること」と「公式の証明ができるようにすること」という「本質」に注力した勉強が大切になります。
「概念の意味を理解する」とは、例えば「微分とは何を求める操作なのか」を理解することです。
微分について、ただ「xのn乗をnかけるxのn-1乗に変える」という「操作」だけを覚えるのではなく、「ある点における関数の接線の傾きを求める」という「意味」を理解するということです。
余裕のある方は、さらにもう一段階進んで、「なぜ微分を考える必要が出てきたのか」まで考えられると良いでしょう。
高校数学では、微積分以外にもsin、cos、logなど様々な記号が出てきます。これらを「よく分からない文字の羅列」としてではなく、「意味のある記号」として理解できるようにしましょう。
公式の証明について、「公式そのものに加えて証明まで理解しなければいけない」と言われると、一見やるべきことが大幅に増えて大変そうに思えます。
しかし、実際はその逆です。
ほとんどの場合、公式の証明には別の公式を活用することになります。
したがって、「公式Aから公式Bが導出できる」といったように、別個の知識として覚えていた知識に「繋がり」が生じます。
これにより、ただ公式そのものだけを覚えるよりも、深く、効率よく知識が定着します。
公式の証明方法については、大抵の場合は教科書に載っています。インターネットで「公式名 証明」と検索しても出てくるでしょう。
まずはこれらの証明をよく読み、計算や理論展開を追うと共におおまかな方針を頭に入れましょう。
次に、何も見ずに公式の証明ができるように、紙に証明を記述してみましょう。
方針が頭に入っていれば、あとは正しく計算と推論を行えば証明ができるはずです。初めは方針が思い出せなかったり、計算でつまずいたりすることもあると思いますが、繰り返し触れていくことで記憶が強固に定着します。
本質固めは、受験を行う年度の夏休みまでに一通りできると良いでしょう。
なお、これらは決して新共通テスト「だけ」の対策ではありません。
本質固めは、新共通テスト以降の国公立二次試験や私立一般入試の対策にも大きく役立つでしょう。
さらには大学入学後や社会人になった際の勉強にも十分対応できるものです。大学受験という「機会」を通して、本質の部分から知識を理解する練習をしていきましょう。
3.問題を解いて形式に慣れよう
夏休みが過ぎたら、実際に新共通テストに似せた問題を解くことで出題形式に慣れていきましょう。
試験本番で点を取るためには、量をこなして慣れることも非常に大切です。
すでに新共通テスト対策用の問題集が多く市販されていますので、解説が丁寧か・自分に合っているかを基準に、問題集を1冊選んでこなしていきましょう。
新共通テストの形式に慣れていく中で、「どれほどのペースで解けば間に合うか」や「時間を節約するにはどうすれば良いか」などの感覚が徐々に掴めてくるでしょう。
問題が解けなかった箇所は定着が弱い箇所になります。
問題を解き直す際は、「解き方」よりも「考え方の本質」を意識して復習しましょう。
もう一度「本質固め」に戻るのも一手です。「問題演習」と「本質固め」を行き来することで、知識の定着と演習力を共に鍛得ることができます。
【参考】
新共通テストの試行調査問題とセンター試験の過去問題は以下のサイトで閲覧できます。
答えは、解答のみで解説はないので、解けなかった問題は学校の先生や塾の講師・チューターに質問してみてください。
- 大学入試共通テスト 試行調査問題・解答
- 平成30年度 | 平成29年度
- 大学入試センター試験 過去試験問題・解答
- 過去3年分の試験問題
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