国公立理系と私立理系はどう違う?どう選ぶべき?

国公立大学の入試対策ポイント
国公立理系と私立理系はどう違う?どう選ぶべき?

理系志望なのですが国公立理系の電気通信大学と私立理系の東京理科大学、上智理工が気になってます。
理系学部において、国立と私立ではどのような違いがあるのでしょうか?また、どのような基準で選ぶべきでしょうか?

志望校および志望学部学科の選択を行うときに、国公立と私立の選択も行うこととなりますが、それぞれどのような違いがあるかを把握しておくことは非常に大切です。本記事では国立理系と私立理系の違いをまとめ、何を基準として志望校を選ぶべきかを説明します。

1. 主な違いは入試形式、学費、教員あたりの生徒数

国立理系と私立理系の主な違いは、入試形式と学費、教員あたりの生徒数(ST比)にあります。以下、それぞれ詳しく述べていきます。

入試形式

これはご存じの方も多いですが、国公立の入試では、共通テストの受験が基本必須となります。
受験科目も、多くの大学では英語と数学・理科のみならず、国語と社会の受験も必要となります。最終的な合否は共通テストの点数と二次試験の点数から総合的に決定しますが、その配分は大学ごとに異なります(東京工業大学のように、共通テストを足切りのみに用いる例もあります)。
共通テストでは情報処理力や計算力、個別二次試験では「知識を応用して解く、理解しているからこそ解ける本質的学力」が見られると言われ、入試全体を通じて様々な質の問題に対応する力が必要となります。

一方、私立の場合は多くの大学で多彩な受験方式が存在します。国語と社会も含めた共通テストの点数のみで決まる方法もあれば、英数理を受験科目とする独自の一般入試のみで決まる方式、そして共通テストと一般入試の総合点で決まる方式などがあります。

ただ、「国公立・私立問わず、大学によって問われる問題の質が大きく変わる」というのが正直な話で、受験先をどこにするか、併願先をどうするか、を早期に考え対策をしていくことが重要になってきます(もちろんこれは理系に関わらず受験全般に言えることですが...)

また、注目すべきは「記述形式」なのか「マーク式」なのかという違いです。
記述形式の場合、途中式も採点対象になる場合が多いため、そこに論理的整合性があるかどうかで得点が変わるというプレッシャーを感じることでしょう。ただ、「部分点を貰える場合がある」「問題の配点が大きいため、じっくりと一問に向き合える」などの傾向も見られます。

他方「マーク式」の場合、途中式が見られることはなく「正しい答えを導けているかどうか」に勝負がかかっています。部分点も発生しないため、「早く、正確に答えを出せるかどうか」という、ある種の計算力で勝敗が大きく分かれる点に注意です。

学費

国公立の学費は年間およそ50万円~60万円ほどです。対して私立の学費は150万円~200万円ほどであり、国公立大学の3~4倍となります。大学4年間だと国公立で約200万円~240万円、私立で約600万~800万円と大きく差が開きます。また、理系の場合、進路選択に「院進学」が候補になる場合も多いため、そうなると差額はより大きくなります(上記に加え、入学金や受験料なども加わるため、差はさらに大きくなります)

なお、これほどの差が生まれる理由としては、やはり国公立の場合は、国からの補助金により運営費を賄っていること」が大きいと言えます。
このように、私立大学に通い続けるにはかなりの大金が必要になりますので、ご家庭の経済状況によっては、奨学金(実質的にはローン)の借入や長時間のアルバイトが必要になる可能性があります。

教員あたりの学生数(ST比)

理系学部の場合、学部3年次もしくは4年次において研究室に所属し、卒業研究を行うことになります。
そこで、「教員あたりの学生数(Student-Teacher比率、以下「ST比」)が、研究活動の質を見る上で大切になります。ST比が低ければ、教員は学生一人ひとりに対して綿密に対応できます。
逆に、ST比が高いと、教員が学生全員の面倒を見切れなくなります。研究室の機材を用いる場合も、学生が多いと競争や順番待ちになるのに対し、学生が少なければそのようなことは減ります。
そのため、「ST比が低い方が研究活動の質が高い」という傾向になります。国公立大学のST比は平均5~10、私立大学のST比は平均15~20となります。なので、研究活動を行う上では国公立大学の方が有利となります

以上、国公立理系と私立理系の違いを紹介しました。ただし、これらはあくまで「傾向」であるため、実情は各大学ごとに違うことが考えられます。詳しくは志望大学のホームページや説明資料などをご参考ください。

2. 「研究環境」にも注目すべし

さて、上記のほかに「研究環境」にも注目をしてみましょう。

よく「研究力に差はあるのでしょうか?」という質問をされることも多いのですが、国公立と私立とで研究力に差は無いと言われています。

一般的には、国立大学は国の予算を受けているため、基礎研究においては充実した研究環境や施設を有していることが多いです。
また、国立大学は一定の研究分野において優れた研究者を抱えているケースが多く、その分野における基礎研究の先駆的な成果を生み出すことがあります。さらに、国の予算による研究費の充実や政府主導の研究プロジェクトへの参加などが基礎研究の推進につながることがあります
一方、私立大学も基礎研究・応用研究ともに優れた成果を上げていることが多いです。特に、私立大学は独自の資金調達や産学連携などの柔軟な取り組みが可能であり、一部の私立大学は研究資金を活用して優れた研究環境を整えています。また、応用研究においては産業界や地域社会との連携が強く、実践的な問題解決に貢献することが多いです。

両者はそれぞれの強みを持ち、異なる視点から研究を推進しています。ですから、この点からも「自分はどんな分野を究めてみたいと思うか」を早いうちから考えておくことが何より重要と言えます。

3. 国公立と私立どちらが良いか

それでは国公立と私立、どちらが良いかという話ですが、結論として「大学でしっかり勉強して充実した研究活動を行いたい」という目的であれば、国公立大学への進学をオススメします。

入試では総合的な学力が必要ですが、入学後の学生生活に関しては国公立大学が有利になります。私立大学に比べ学費が安いため、家庭の経済状況にもよりますが多額の奨学金や長時間のアルバイトにより精神的・体力的なストレスを受ける可能性は低くなります。そして、体力が残っている分、勉学や研究に打ち込むことができます。
研究においても、私立大学に比べ教員との綿密なやりとりのもとで研究を進めることができるため、充実した研究が行いやすいと言えます。

ただ、大学選びにおいて重視する項目は「勉学と研究」のみではないため、一概に「私立より国公立!」と断定することもできません。

例えば、都内の大学と地方の大学を比較した際には、都内の方が様々なイベントや資源が集まるため、多くのチャンスに恵まれています。
就職活動においても、ほとんどの企業は都内において説明会を実施するのに対し、地方で説明会が行われる企業は限られています。地方の学生は就職活動に伴い大都市への移動や宿泊が必要になる場合もあり、金銭的・時間的な負担がかかります。

そのため、この「地理的優位性」に基づいて判断する場合は、「東京や大阪などの主要都市の私立大学」の方が「地方の国公立大学」よりも有利になります。
その他、大学の風土や施設の綺麗さ、ブランド力、産業界における学閥の影響力など、判断材料はたくさんあります。是非自分が重視する判断基準をもとに、大学および学部・学科選びを行いましょう。

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