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社会で求められる「議論する力」って、いつ頃から鍛えればいいの?

社会で求められる「議論する力」って、いつ頃から鍛えればいいの?

息子は春から中学2年生になります。
これから高校受験、大学受験を控えていますが、社会人になったときのことを考えると、単純な学力よりも、自らの意見をきちんと相手に伝える力や議論する力などを身につけさせたいです。
早めに対策をしておきたいと考えていますが、どのぐらいの学年から対策するのが効果的でしょうか。

学校での成績や受験も気になるけれど、うちの子が将来社会に出てちゃんとやっていけるのか心配......そう思っている親御さんも多いのではないでしょうか。
御相談にある「議論力」はもちろん社会に出てから求められる能力ですが、実は、是非とも中高生の早い時期から身に付けておきたい非常に重要なものなのです。
この記事では、そんな議論力を、どのタイミングからどのように伸ばしていけばよいかご紹介します。

1. 議論力を鍛え始めるタイミングはいつから?

大学生活で重要な議論力

議論力をいつから伸ばしたいかを考えるに当たって、では「議論力はいつから求められるのか」について整理してみたいと思います。

ある議題について相手と意見交換するディスカッション(議論)は、社会人になれば当然求められる能力の一つです。
しかし議論する力は、社会人になってからだけでなく、大学生活のうちから求められるものです。

大学生活において議論する力が求められるシーンは大きく2つ。
1つはもちろん大学での勉強です。
高校までの勉強では、すでに一つの決まったの答えが存在する問題がほとんどです。
しかし大学の勉強である「学問」でしゃ、正解が1つに定まっていないのがむしろ普通で、またレポートで自ら課題設定するなど、問いすらも自ら設定していくような学びが当たり前になります。
また、ゼミに所属して毎週議論を交わすのも日常となります。
この高校と大学での「学び方のギャップ」を考えると、大学でスタートダッシュを切れるかは、高校までにどれだけ議論力の基礎を固められているかに大きく左右されるのです。

大学生活において議論力が求められるもう一つは、就活やインターンシップなど社会人への橋渡しとなる場面においてです。
近年「就活の早期化」とも言われ、将来的な自分のキャリアや成長を考えて、大学生の早い時期からインターンシップなど企業での就業経験を行う学生も多くなっています。
そこでは当然、自分の意見を的確に伝えつつ議論する力が求められます。大学生になった時点でそのような能力が不足していては、周りの学生に遅れをとるだけでなく、自分自身が思い描く将来を実現することも難しくなってしまいます。

議論力を鍛えるなら中1~高2までの間に!

以上見たように、議論する力は、大学生活での学びと経験を充実したものにするために非常に重要なものです。
それを踏まえると、中高では学校の勉強と受験に集中して、他は大学生になってから...と考えていては遅い! 議論力を鍛えるならむしろ、大学受験などで時間のほとんどを受験勉強に費やす時期より前、つまり中1~高2までの時期に行うべきだと言えます。

また近年、AO・推薦入試などで、受験生の主張力やディスカッション能力をみる入試も増えています。
東京大学が2016年度から始めた推薦入試でも、学部によってグループディスカッションや教授との質疑応答が課されており、慶應義塾大学のSFCのAO入試など、私大でも自らの意見を伝える高度な能力が求められます。
もし受験の選択肢としてAO入試などを考えるなら、高3になってから付け焼き刃的に議論力をつけるのでは歯が立ちません。
やはり高2までの段階で、どれほど議論を含めたコミュニケーションの力が備わっているかが重要なポイントになります。

2. そもそも「議論する力」って何だろう?

では、議論する力を鍛えるには、具体的にどうすればいいのでしょうか。
それについて考える上で、まずそもそも議論力とはいったい何なのかについて整理しておきましょう。
実際の議論においては、制限時間内に効果的に議論を行うために、議論の流れの整理や時間管理など様々なスキルが求められますが、ここでは議論力の核となる次の3つの能力をとりあげたいと思います。

 「受信力」

  • 議論のテーマや今話されている論点を正しく把握する
  • 相手の言いたいことを正しく理解する

 「思考力」

  • 相手の意見が妥当なものかどうか判断する
  • 自分の意見内容を組み立てる

 「発信力」

  • 自分の意見を過不足なく整理して伝える
  • 発信の目的やその場の状況によって適切な伝え方を工夫する

普段の日常会話などを考えると、「受信」と「発信」だけに目が行きがちですが、大学入試や大学、そして社会で求められるディスカッションにおいては当然、日常会話よりも高度で複雑な内容を扱うわけですから、思考力もまた非常に重要な要素になります。
つまり、単に「口が上手い」だけではなく、高い思考力を伴った高度な議論力を身につける必要があるのです。

「思考力」を鍛えるといっても、5教科の勉強とは少し違う!

しかし注意すべきなのは、議論力を伸ばすという意味で「思考力を鍛える」という時、それは例えば国語や数学といった5教科の問題を解く上で求められる思考力とはやや異なるものであるという点です。
前にも触れた通り、5教科の問題ではほとんどの場合、あらかじめ決まった答えが設定されていて、論理的に思考してその答えにたどり着くことができるかという勝負になります。
しかしディスカッションの課題となるものは、ある決まった答えのないものになります。例えば、東大法学部の推薦入試では、次のようなディスカッション課題が出題されています。

「性犯罪で有罪判決を受けた人について、再犯防止のためにGPS監視の対象とすることについて、どう考えますか。
監視の対象にする条件や、具体的な監視の方法を想定しながら、議論してください」(「平成31年度東京大学法学部推薦入試 グループ・ディスカッション課題」より)

この問題について、当然最初から決まりきった答えはありません。
この議論に参加する学生は、具体的な方法論も考えつつ、GPSによる監視が妥当なものであるかを、法学、倫理学、社会学など様々な視点から検討し、根拠とともに結論を導かなければなりません。
ここでは、論理的に思考して特定の答えを導くという単純な思考力ではなく、様々な観点から多角的に分析して、明確な根拠とともに結論を出すという複雑な思考力が要求されるのです。

3.思考力も同時に鍛える!議論力をあげる方法

自分の考えを言葉にする「アウトプット訓練」

それでは、議論力を鍛えるためには具体的にどうすれば良いかについてご紹介しましょう。
議論力を鍛える上でまずおすすめしたいのは、自分の思いついたことや考えたことを言葉にしていく「アウトプット訓練」です。
例えばスマホや新聞でニュース記事を見た時に考えたことを、頭の中にとどめるのではなく、実際に文字に起こしたり、声に出したりして言語化する。頭の中だけではぼんやりとなりがちな自分の考えを言葉にしなければならない状況をつくり、そこで頭を動かすことで、思考力や発信力を鍛える練習になります。
しかし当然、最初から自分の考えを言葉にするというのは難しいことも多いでしょう。
過度の負担なく訓練を行うためには、対話の中で言語化の手伝いをする大人の存在が不可欠です。
我々プロの存在意義の一つは、そこにあると言えるでしょう。

〈なぜ?〉を意識して読む「Why読解法」

もう一つご紹介したいのが、文章を読む時、筆者の主張に〈なぜ?〉という問いを挟みながら読む「Why読解法」です。
ディスカッションにおいては、相手の意見が妥当なものであるか、常に批判的意識を持っておく必要があります。
しかし、いきなり議論の場に放り出されて、相手の意見を批判的に分析するというのはハードルの高いものです。
そこで、まずは生の議論ではなく、文章に書かれている意見一つひとつに対して、「なぜそうだと言えるのか?」「本当にそれは正しいのか?」と疑問を挟みながら読むクセをつけることをオススメします。
文章の素材としては、本一冊まるまるでも良いし、新聞の社説や国語の授業・問題集などで扱われた文章など、長さの短いものだと取り組みやすいでしょう。
そこで考え付いたことがあれば、先ほどの「アウトプット訓練」です。頭の中だけに残さずに、頭の外に言葉としてアウトプットしてみましょう。

4. 最後に -実際の議論経験をいかに積み上げるか 

ここまで議論力を鍛える具体的な方法をお伝えしてきましたが、これらの訓練は議論のいわば準備段階にあたるもので、実際にディスカッションする経験を積み上げることが非常に重要であることは言うまでもありません。
そして議論を行う中で見つかった自分の課題に合わせて、さらに訓練を積み上げていく、そのような好循環を生み出すことが重要になります。

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