総合型選抜(AO入試)や推薦型選抜で求められる小論文の試験において、どういう点が評価され、どういう点が減点されるのか、いまいちよくわかりません。
何を一番に重視すればいいのでしょうか。
小論文において最重要となってくるポイントは、「題意に沿った解答ができているかどうか」です。
実際の解答例を見ながら、どのような失敗をしてしまいがちなのか、確認していきましょう。
1. 出題者の意図をくみ取る
小論文において重視すべきポイントは、1にも2にも「出題者の意図に沿った答えになっているか」という点です。「自分の解答が、質問の答えになっているか」だと言い換えてもいいでしょう。
もちろん、これは小論文に限った話ではありません。どの教科であろうと、あるいは、選択問題であろうが記述問題であろうが、「質問の答えになっていない解答」に丸がつくはずはありません。
しかし、小論文は自由度が高く、かつ解答にオリジナリティーを求められるケースも多いため、どうしても質問の意図から外れた解答を作ってしまいがちです。
では、具体的にどのような失敗が考えられるでしょうか。
2. 問題傾向の大別
それに先立って、まず問題のパターンを大分していきましょう。まず、大きく分かれるのが、「資料の読み取りや整理」が求められるパターンと「自分の考えを述べる」パターンの2つです。これがほとんどだと言ってもいいでしょう。
「資料の読み取りや整理」においては、自分の考えや主張を織り交ぜてはいけません。あくまで与えられた資料を客観的に分析し、整理したり要約したりする必要があります。
一方で、「自分の考えを述べる」問題に対して、資料に書かれている話を繰り返していては、これも評価の対象にはなりません。
さらに、設問の細かい指示を見ていくと、そのバリエーションはさまざまです。
「グラフの読み取り」を求めるもの、「自分の体験談を書け」と指示があるもの、「図示せよ」というふうに、イラストや図解を求めてくるものなどもあります。
3. やりがちな失敗
では、実例をもとに「やりがちな失敗」を分析していきましょう。
【例】
Q.日本では長らく少子高齢化が社会問題とされています。このまま少子高齢化が進むことによるメリット・デメリットについて、あなた自身のこれまでの学習を踏まえて、考えを述べてください。
A.
私は、少子高齢化に歯止めをかけるために、「子ども手当」の増額が必要だと考えています。
私が、このように考える理由は、実際に私の身近にも、経済的な事情から、子どもを持つことへのためらいを感じている人がいるためです。そういう人たちに、心配なく子どもを産める環境を用意することが、少子高齢化を止めるために一番必要なことだと考えます。
また、「子ども手当」の増額だけではなく、日本の多くの企業がいまだに採用している「年功序列」型の雇用も、変更していく必要があると考えます。
たとえば、ネットへの知識などは、高齢者よりも若者の方が多く持っており、デジタル化が進む現代社会では、若者の方がより成果を残していると考えられます。
したがって、「年功序列」を撤廃し、「実力主義」を取り入れれば、若者が成果に見合った報酬を受け取ることができるようになります。そうすれば、家計が潤い、安心して子どもを持つことができるようになります。
以上論じてきた通り、少子高齢化への対策としては、若者への経済的な優遇が不可欠です。それが実現することにより、少子高齢化の問題が解決するばかりか、日本の経済不振も大きく改善され、社会全体が好循環になっていくと考えます。
さて、この解答例の問題点はどこにあるでしょうか。
いろいろと突っ込みどころはありそうですが、今回のテーマである、「質問の意図に即した答えになっているか」というポイントに絞って、分析をしていきましょう。
まず、設問において求められているのは、
- ①少子高齢化が進むことによるメリット・デメリットの「両方」を挙げること
- ②解答者がこれまで学んできたことについて言及すること
- ③解答者自身の考えを述べること
の3つです。
今回の解答例(A.)では、③しか満たせていません。
そもそもこ解答は、はじめから「少子高齢化は食い止めるべき」という前提に立って話を進めてしまっています。そして、その上で、求められてもいない「少子高齢化を止めるための具体的な方法(政策)」について提案をしています。
あるいは、内容面は良いことを言っているのかもしれません。しかし、そもそも聞かれていないことを答えているわけですから、その内容がいくら良いものであったとしても、加点はほとんど望めないでしょう。
①については、まったく触れることができていません。「少子高齢化は食い止めるべき」という主張であるにもかかわらず、少子高齢化が進むことのデメリットすら挙げられていないというのは、大問題です。
②について解答例では、2段落目で「実体験」を述べています。しかし、設問文をよく読んでみると、求められているのは「あなた自身のこれまでの学習」についての言及です。つまり、本や新聞、官公庁のホームページなどで見た、信頼性・客観性のある情報を、自身の意見の根拠として提出するように求められているのです。
もちろん、実体験を書くこと自体に問題があるわけではありませんが、ここではやはり「特に求められてはいないもの」です。実際の試験問題には、字数指定がある場合がほとんどでしょうから、その限られた字数制限においては、「問われていること」への解答に字数を割くべきです。
さて、今回は「質問の意図に即した答えになっているか」が重要だということを見てきました。ですが、上の解答例には、それ以外にも問題点がありそうです。そちらについても、今後の記事で分析をしていきますので、ご期待ください。
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