青山学院大学文学部の自己推薦入試の受験を考えているのですが、どのように対策をすればいいでしょうか。
現在多くの大学・学部で総合型選抜や推薦型選抜が展開されているなか、青山学院大学では、全11学部のなかで3学部(【文学部】 英米文学科/史学科/比較芸術学科、【地球社会共生学部】 地球社会共生学科、【コミュニティ人間科学部】 コミュニティ人間科学科】しか実施されていません。
一方で、その入試方式は学部ごとに非常に多様で、その中でも文学部は、学科ごとに「それぞれ適合した人材を迎え入れること」を目的として、「自己推薦入試」を実施しています。今回の質問者様が何学科を志望されているかまでは分からないため、今回の記事では文学部の各学科における自己推薦入試のポイントをご紹介できればと思います。
※以下の内容は、2023年度入試の情報を掲載しています。
入試内容に関する情報は変更になる場合がありますので、必ず大学公式の入学試験要項を合わせてご確認ください。(参考:青山学院大学HP)
1. 青山学院大学 文学部自己推薦入試の内容
青山学院大学文学部自己推薦入試の実施内容は、次の通りです。
・青山学院大学 文学部自己推薦入試の各学科の募集定員
学科ごとに定員が設けられています。
- 英米文学科:約30名
- 史学科:約15名
- 比較芸術学科:約8名
・青山学院大学 文学部自己推薦入試の出願資格
- 《英米文学科》
- 次のA~Eのいずれかの資格を取得している者
- 実用英語技能検定準1級以上
- TOEICⓇListening & Reading 730点以上、およびSpeaking 130点以上、Writing 140点以上
- TOEFL iBTⓇ 68点以上
- TEAP(4技能)300点以上
- IELTS(Academic Module)オーバーオール・バンド・スコア 5.5以上
- 《史学科》
- 以下の条件に該当するもの。※(1)は全員必須、(2)は①または②いずれかに該当すればOK。
(1)本学科を第一志望として本学科へ進学を希望する者
(2)①高等学校における「全体の学習成績の状況」が4.0以上である者
②高等学校における「全体の学習成績の状況」が3.8以上、かつ「世界史B」もしくは
「日本史B」の「学習成績の状況」が4.5以上である者
※学習成績の状況=評定の平均値 - 《比較芸術学科》
- 以下の条件に該当するもの。※(1)は全員必須、(2)は①または②いずれかに該当すればOK。
(2)①高等学校における「全体の学習成績の状況」が4.0以上である者
②下記、3点すべての要件を満たす者
1)高等学校における「全体の学習成績の状況」が3.8以上であること
2)高等学校における「外国語」の「学習成績の状況」(評定の平均値)が4.2以上であること
3)高等学校における「世界史B」または「日本史B」のいずれかの「学習成績の
状況」(評定の平均値)が4.2以上であること
2023年度の合格者倍率(志願者÷合格者)の結果としては、
- 英米文学科:3.1倍
- 史学科:約3.2倍
- 比較芸術学科:約5.5倍
となっており、他大学と比べても平均的からやや高いと言えるかもしれません。
ただ、一般入試の全学部日程の場合は倍率が10倍ということもあり、そこと比較をすればまだチャレンジのしやすさはあると言えるでしょう。
・青山学院大学 文学部自己推薦入試の一次選考(書類選考)の内容
さて、文学部自己推薦入試の一次選考を見てみましょう。
出願時に提出する書類を総合的に判断して合否が決定されます。また、学科によって課される内容が大きく異なりますので、間違えないよう注意して下さい。
■主な出願書類
- 《英米文学科》
-
- 入学願書...本学志望の動機・理由、入学後の計画・目標について記述。
- 英語資格の証明
- 《史学科》
-
- 志望動機・理由書(1200字以内)...本学科への志望理由、入学後の学習計画、目標の3項目を記述。
- 入学者選抜課題(2000字以内)...歴史に関するテーマについて論述。
- 《比較芸術学科》
-
- 志望動機・理由書(1500字以内)...本学科への志望理由、入学後の学習計画、目標の3項目を記述。
- 入学者選抜課題(2000字以内)...芸術に関するテーマについて論述。
《英米文学科》では、2023年度では一次選考で志願者:225名が合格者:97名まで絞られています。一般選抜入試に比べるとそこまで倍率が高くなく、かつ一般選抜以外の方法で英米文学科を受ける方式は、この自己推薦入試のみ(指定校推薦を除く)です。
出願資格の時点で、英検準1級以上に相当する力が求められている時点で、英語資格を武器に能力をアピールすることは不可能と考えて良いでしょう。
ゆえに、入学後のビジョンを強く打ち出していくことが求められます。
ただ、文字数が1200字とやや少な目であり、自己アピールや活動実績を書き加えようにも、少ない文字量で表現せねばなりません。詳しく説明をしなくとも「凄さ」が伝わるような活動実績を持っていればなお良しですが、それが無いにしても努力の証を一言で表現できるくらいにまで言葉を練り上げることが重要であると覚えておいてください。
また、《史学科》《比較芸術学科》では、志望動機1200字〜1500字と、こちらも比較的少ない文字量で将来構想まで語る必要があります。英米文学科と同じく、ビジョンを明瞭に一言で表現できるよう熟考することが必須であると覚えておいてください。また、両学科ともに入学者選抜課題が設けられており、それぞれ「歴史」「芸術」に関するテーマを論述することが求められます。倍率にも表れているとおり「強い興味」を持って臨む受験者が多く、出願資格にも「第一志望であること」と明記されていることから、課題を通じて「テーマに対する深い興味や理解」が求められることは自明です。しっかりと関連書籍を複数読み込むことをお忘れなきように。
・青山学院大学 文学部自己推薦入試の二次選考の内容
一次選考に合格した人は、試験場での二次試験に進みます。二次試験は、各学科に関するテーマに基づいた筆記試験及び小論文・筆記試験と面接が実施され、その結果と出願書類の内容を総合的に判断して合否が判定されます。
- 《英米文学科》
-
- 小論文(60分間)...英文を読み、英語と日本語の両方で文章を書く形式。
- 面接(英語および日本語で実施)
- 《史学科》
-
- 筆記試験(90分間)...歴史分野の学力を問う論述。「歴史に関する史料」または「歴史に関する英文」のいずれかを選択し、問題に答える小論文形式。
- 面接
- 《比較芸術学科》
-
- 筆記試験(90分間)
芸術に関する基礎知識を問う筆記試験。 - 面接
- 筆記試験(90分間)
これも2023年度の入試結果ですが、《英米文学科》では二次選考に挑んだ78名のうち、72名に合格が出されています。難関の一次選考を突破できたことに自信を持って、書類に込めた想いを存分に面接で発揮をしていきましょう。英語と日本語の両方で面接が行われるため、書類のどの部分を英語で訊かれても、明快に答えられるよう準備しておきましょう。
次に《史学科》《比較芸術学科》ですが、こちらは両方とも二次試験でさらに約半数へと絞られます。一次選考でも既に約40%〜約60まで絞られており、書類を作り込むだけでも大変ではありますが、さらに面接と筆記試験(小論形式)でテーマへの好奇心や本気度を深堀りされます。前述のとおり「志願者は第一志望である」ことを前提としている分、「もちろん本気だよね?付け焼刃じゃないよね?」と問うているわけですね。ただ、書類作成時点で自分の想いを全力で表現すれば問題ないですから、自信を持って挑みましょう。
2. 青山学院大学 文学部自己推薦入試の文学部自己推薦入試の対策ポイント
さて、各所で既に触れてはおりますが、改めて文学部自己推薦入試のポイントについてご紹介します。学科によって提出課題・試験内容が異なるため、学科ごとにポイントを説明していきます。
- 《英米文学科》
-
自己PRの「差別化」戦略を練ろう
英米文学科では、一定の英語スコアが求められており、また二次試験でも英語で小論文や面接が行われることから、英語能力の高い人が集まってきます。その中で競争に勝ち抜くことを考えると、英語能力を身につけた過程や、プラスアルファでの努力など、周りとの「差別化」を図っていくことが重要です。「過程」ということで言えば、海外経験がある人はその経験について、また海外経験がない人でも、むしろ国内にいながらどのように英語を身につけたのかは、PRのポイントになるでしょう。「帰国子女」であり「《英米文学科》で学びたい!」という想いがある学生が一堂に会することになるため、単に「留学経験がある」だけでは全く差別化にはなりません。明確に「なぜ自分の経験が【青山学院大学の】【英米文学で】学ぶ必要性につながるのか」を問われていると考え、突き詰めていきましょう。
入学後の「専門課程」を見据えて準備しよう
英米文学科には、「イギリス文学・文化」「アメリカ文学・文化」「グローバル文学・文化」「英語学」「コミュニケーション」「英語教育学」の6つの専門課程が存在します。さらに、これら6専門課程からどれか1つを、1年生のタイミングから選ばなくてはなりません。そのため、入試では、どの専門課程に進みたいと考えているのか、そこでどんなことを学び、どんなことを身につけたいのかを説明できる必要があります。「英米文学科」という単位よりさらに掘り下げて、具体的にどんな学びをしたいのか考えましょう。
- 《史学科》
-
さまざまな文献にあたり、知見を深めよう
提出書類の一つである入学者選抜課題では、参考文献の書き方が指定されており、さまざまな文献にあたった上で、自分の考えを論述にまとめることが期待されています。参考文献の書き方など基礎知識はしっかり身につけた上で、さまざまな文献にあたり、自分の知見を広げましょう。とはいえ、執筆する際は、参考文献の内容に引っ張られすぎないことも重要です。参考文献は自分の意見を「補強」するものとして利用し、あくまで自分自身の意見をメインに書きましょう。
「歴史をどう活かせるか」という視点でも考えを深めよう
歴史に関して正確にかつ論理的に記述できる力は前提として求められますが、それと同等に、文学部史学科では、歴史と現代がどのように繋がっているのか、そして歴史が未来にどう活かせるのかを導き出せる思考力がある人材が求められています。歴史に関する知識をつけることは必須ですが、それだけでなく、現代社会のさまざまな問題を歴史の側面から考察するなど、歴史を活用した分析という視点でも考察を深めましょう。
- 《比較芸術学科》
-
自分の「専門領域」を定め、専門性を磨こう
比較芸術学科の入学者選抜課題では、「美術」「音楽」「演劇映像」の3つの芸術領域の中から1つを選択した上で、選択したものに関する記述を行う必要があります。また、選択した芸術領域に関して、具体的な作品や作者を挙げながら課題を作成していかなければなりません。そのため、比較芸術学科の自己推薦に挑戦するということが決まった段階で、自分自身の「専門領域」を決めて、より多くの専門知識を蓄えておくことで、合格に近づくことができるでしょう。
「芸術が好き」だけでなく、芸術を「学問」として捉えよう
比較芸術学科を志望する皆さんは、何らかの芸術分野への興味関心が高い人が多いかと思いますが、単に「芸術が好き」で「知識が豊富である」だけではなかなか合格は難しいでしょう。大学に入ってからは、芸術を「学問」として学ぶことになります。それも踏まえ、例えば「芸術とは何か」という哲学的視点や、「芸術の社会的意義」という社会学的視点など、さまざまな「学問的視点」で芸術を捉えることをおすすめします。まずは入門書を読んでみるのも良いでしょう。
以上が青学・文学部 自己推薦入試へのポイント紹介になります。
毎年多くの受験生が志願する人気校なだけあり、圧倒的な蔵書量を誇る図書館など、用意された環境は大変素晴らしいものがあります。
青学へチャレンジできるレベルの想いと行動量を持った受験生であれば、他の大学での総合型選抜・公募推薦選抜でも戦えるレベルであると言えますから、ぜひチャレンジしてみてください。
モチベーションアカデミアは、「総合型選抜(AO)入試」に真正面から挑む塾です。
「対話型授業」を通して明確な志望理由を形成し、面接や小論文試験、集団討論に重要な思考力と表現力を養います。
また人材開発の専門家であるモチベーションアカデミアの講師から指導を受けることで、自らを律し・計画的に目標を達成する力・モチベーション高く挑み続ける心が育まれます。
これらを通して、志望校に「欲しい」と言わせる総合型選抜(AO入試)・学校推薦型選抜(推薦入試)の対策が可能です。
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