数学の伸び悩み解消に。効率よく数学の力をつけるために必要なたった1つのポイントとは?

数学1A学習のすすめ
数学の伸び悩み解消に。効率よく数学の力をつけるために必要なたった1つのポイントとは?

今回は数学で「伸び悩む勉強」をしているお子さんとは、どのようなタイプなのかを紐解き、そこから脱却するためのポイントについてお話したいと思います。

まずはじめに、私たち塾の大切な役割として、勉強面について新しい環境にスムーズに入っていけるようサポートすることもその一つだと感じています。
指導の際には個々の問題の解き方を教えることもさることながら、まず第一に、生徒さんの学習を軌道に載せることを考えます。
当たり前のことですが、生徒さんの勉強時間全体の中で、塾の授業の時間は限られているからです。

自然と、

  • 塾の授業以外でどのような勉強をしているのか
  • 学校ではどんな先生にどのように教わっているのか

といった生徒さんの声に耳を傾けるようになりました。

そういったことを繰り返していると、「伸び悩む勉強をしている生徒のタイプ」というものがおぼろげながら見えてきますので、生徒さんが伸び悩みから抜け出すために「伸び悩む勉強法」に落ち込まないよう、日々の授業に臨んでいます。

もし今数学で伸び悩んでいらっしゃるなら、この記事を何かのヒントにしていただければ幸いです。

数学で伸び悩むお子さんに共通する特徴は「公式のあてはめ」と「演習量をこなす」だけの勉強法

まず、数学が伸び悩むお子さんは、大きく3つのパターンに分けることができます。

  • (1)数学が苦手でさっぱりわからない。
  • (2)苦手意識はなく、努力もしているのに一定以上のラインを超えない。
  • (3)すでにかなりできるが「一流」にあと一歩届かない。

偏差値で言えば、(1)が50(平均点)未満、(2)が60未満、(3)が60前後で足踏みしているイメージでしょうか。
それぞれのタイプに典型的な症状と対処法がありますが、今回は、最も厄介な(2)について取り上げたいと思います。

数学に苦手意識はなく、努力もしているのに一定以上のラインを超えない。
そのタイプのお子さんに共通してみられる特徴は2つあります。

  • ひとつめは、数学を公式の当てはめとして捉えていること
  • ふたつめは、ひたすら演習を重ねる勉強をしてきたこと

です。
数学の問題を公式に当てはめて解くことや、演習量を増やすことは、どちらもそれ自体では悪いことではありません。
では、公式の当てはめと演習量をこなすだけの勉強をしているお子さんの何が問題なのでしょうか。

一言で言うと「効率が悪い」のです。

一つの問題を解けるようになるまで、大量の演習をしないとなりません。
それでいてすぐに解き方を忘れてしまいます。
また、解いたことがある問題しか解けません。
少し問い方を変えられた途端に解けなくなってしまうのです。

  • 努力をしているのに、定期テストで8割を超えられない
  • 家では解けたはずの問題が試験本番だと解けないことがある
  • 定期試験に比べて模試の点数が極端に低い

こうした症状は、勉強量を増やしただけでは解決に至りません。
では、どうすれば良いでしょうか。

「なぜ」という視点が勉強の効率を一気に上げる

公式の当てはめと演習量をこなすだけの勉強をしているお子さんが、次のステージに進むために必要なこと。
それは個々の問題や公式に対して「なぜ」という視点を持つことです。

この問題はなぜこのように解くのか、なぜこの公式は成り立つのか......。
数学という科目はこうした疑問を全て説明できるようにできています。
そして、その「なぜ」を突き詰めて行くためには、数学の個々の言葉の意味=定義を、正確に理解している必要となります。

定義から、公式の成り立ちや問題の解き方を説明できるようになること。

これこそが、演習量をこなしているのに伸び悩んでいるお子さんが壁を打ち破るための最大のポイントです。

問題の解き方や公式が説明できるようになると、勉強の効率が一気によくなります。
まず、解き方を丸覚えではなく、ストーリーとして理解するため、覚えたことを忘れにくくなります。
次に、解き方ではなく、考え方を理解するので、問い方を変えられてもある程度対応できるようになります。
つまり応用力がつきます。

入試では学校で習った問題がそのまま出されることはほぼないので、この応用力をつけることは極めて重要です。
公式の導き方を理解しておけば、「忘れたら導きだせばいい」ため、いちいち暗記せずともよくなります。
やや、専門的な話になりますが、三角関数の加法定理の関連公式のように、そもそも導き出す力が求められる分野があります。
また、これは幾何の分野に顕著なのですが、1つの公式を導けるようになれば、その際に使った考え方を当てはめるだけで解ける問題が2つも3つもあるのです。

このように、いいことずくめの「なぜ」の追求ですが、一方で、そんなことは分かっていると感じられる方も多いかと思われます。
問題は「どうすれば」お子さんを、その状態に導けるか、というところかもしれません。

表面的な勉強から「本質理解」する勉強への学習習慣の変革が鍵

よく、学習習慣を見直したいと考えているお子さんから「オススメの参考書/問題集はありますか?」という質問をいただくことがあります。
しかしながら、定義から出発して、問題の解き方や公式を説明できるようにする勉強に特別な教材は必要ありません。
定義の説明は、教科書に全て載っていますし、問題の解き方の「なぜそのように解くか」の説明も、教科書や市販されている参考書に、ほぼ書いてあります。

問題となっているのは、「そのような説明を、直接問題を解くには必要ないとして、読み飛ばしてしまう習慣」にあります。
そうした生徒さんの成績を上げていくために、最初の授業では、まず、定義から出発した問題の解き方を実演してみせています。
少々手間はかかりますが、実はそうした説明の方が、解き方の丸暗記に比べてはるかに分かりやすいのです。

そのようにして、「きちんと理解するとはどういうことか」を実感してもらった上で、手持ちの教材を使っての勉強の仕方や、人に説明することを想定した復習の仕方など、自立して効率的な学習ができるような習慣づけのサポートをして行きます。

定義から出発して、問題の解き方、公式を説明できるようにするこのような勉強を、 モチベーションアカデミアでは「本質理解」と呼んでいます。
このスタイルの勉強は特別な勉強法ではありません。
むしろ、最も自然な、王道的勉強法だと思います。

にも関わらず、解き方を丸暗記して演習量でゴリ押しするような表面的な勉強が数学の勉強だと思い込み、その結果、伸び悩むお子さんは毎年あとをたちません。
もちろん、その理由が、お子さんの怠惰にある場合もあります。
ただ、お子さんを取り巻く環境が、表面的な勉強を助長している可能性もあります。
すなわち、学校の授業に問題がある場合もあります。

現在、進学校と呼ばれる多くの学校では、高校二年までに高校の学習内容を終え、最後の一年は演習に充てるカリキュラムを採用しています。
このカリキュラムは、十分な力量のある先生による指導を受けることができ、 かつ、本質的な勉強をする学習習慣が身についているお子さんにとっては問題ないのですが、その条件が満たされていないお子さんにとっては、むしろマイナスに働くことがあるのです。

公立高校で三年間で扱う内容を二年で扱うわけですから、全てを授業で説明しようとすると、どうしても時間が足りなくなります。
その結果、「なぜ」に関する説明がどうしても省かれます。
数学の本質的な勉強の仕方に対する指導も不足しがちになります。

効率の悪い勉強なので定着率が悪い。
そこのところは、大量の課題や小テストを課すことでカバーする...。

板書を書き写し、大量の課題をこなし、小テストについて行くのにいっぱいいっぱいになる中で、いつしか数学の勉強とは、「量をこなして解き方を暗記するものだ」と思い込むようになるのです。
高校二年までに高校の学習内容を終え、最後の一年は演習に充てるカリキュラムや、大量の課題、小テスト自体に罪はありません。

改善すべきは、それを生かすための学習習慣、定義から出発し、解き方や公式を説明できるようにするという本質的な勉強を身につけずに、効率の悪いまま量をこなしている状態です。
進学校の力のある先生方は、この本質理解の部分を巧みに授業に取り入れ、生徒の学習効率と自立して勉強する力を引き出し、結果として、授業進度をあげていらっしゃいます。

学習習慣を変えるには、それなりに時間がかかります。
入試直前期に伸び悩みに気づき、「時すでに遅し」となる展開を避けるためにも、余裕のある非受験学年のうちに効率的な学習習慣を身につけておくことが大切です。

お子さんが本質的な数学の勉強をしているかは、お子さんに問題の解き方を説明してもらうだけで分かります。
説明に曖昧な部分があれば、なぜそのように解くのかと問いかけ、明確に答えられれば特に問題はないでしょう。

保護者の方の中には、あくまで土台となるのは学校の授業であり、塾や予備校は子葉末節のテクニックを教えるところ、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、学校の授業はとても大切です。
ただ、近年では、学校が進学校型のカリキュラムを採用したことにより、塾や予備校で本質的な理解をし、学校で知識を詰め込んでいる、そんなお子さんも徐々に増えてきているのも事実です。
もし、「解き方の説明」がおぼつかないお子さんがいらっしゃる場合は、お子さんが「数学嫌い」にならないうちに、一緒に何らかの対策を考えた方が良いかもしれません。

まとめ

★伸び悩みという壁を打ち破るためのポイント

  • 定義から、公式の成り立ちや問題の解き方を説明できるようになる

そのためには早くから「本質理解」をする勉強法を身につけることが大切です。

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授業では、本質を問う訓練をくり返し、基礎知識と応用力を身につけ、教わったことを「自分で使いこなす」という勉強の仕方を学びます。
「対話型授業」を通して思考力を高め、「本質的な学力」を獲得します。

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