日本史・世界史の用語集の使い方と必要性がイマイチわかりません。活用法を教えてください。

歴史教科の勉強法 虎の巻
日本史・世界史の用語集の使い方と必要性がイマイチわかりません。活用法を教えてください。

中央大学志望で世界史・日本史選択の受験生なのですが、私の周りには山川の用語集を使っている人が多いです。
私は持っていないのですが、買う必要はあるのでしょうか?
用語集で暗記できるような気もしなくて、必要性がいまいちわかりません。
どのような場面で、どのように活用するのでしょうか?

「用語集の使い方」についてですね。
これに関しては多くの方が悩んでいるのではないでしょうか?
学校で勧められた、もしくは、周りの友達の多くが使っている、などなど......。
しかし実際のところは、「使うと良い人」「使わなくても良い人」とで分かれると考えています。

おそらく多くの皆さんがご存知だとは思いますが、用語集とは社会(歴史総合、地理総合、公共)の用語の意味とその入試出題回数が記してあるものになります。
一つ一つの用語の意味や歴史上の背景を知ることで、本質追求型の勉強ができるという反面、全てを読み込むというわけにも行かず、取り扱いが難しいのも事実です。
そこで今回は「用語集を使うと良い人」「使わなくても心配ない人」に分けて説明しようと思います。

【目次】
  1. 用語集を使うと良い人
    ・受験する学校の地歴公民の科目に長い論述問題が存在する人
  2. 用語集を使わなくても良い人
    ・センターのみで地歴公民を使う人
    ・いわゆる「暗記」が得意な人

1.用語集を使うと良い人

受験する学校の地歴公共の科目に「長い論述問題」がある人

まず、志望する大学の入試問題を確認してみてください。
その中に記述問題が含まれている場合は、用語集を使った学習法を取り入れたほうが良いです。(特に200~300文字と長大な記述が含まれている場合は要注意です。)

該当する大学は、たとえば東大、京大、一橋などの国公立大学が中心になると思います。
なぜ使うべきかというと、これらの長い記述の出る大学では特に用語(とその意味)を短絡的に覚える「インプット力」だけでなく、その文脈やストーリーを理解し、自ら問題に合わせて再構成し、解答する「アウトプット力」が必要になるからです。

具体的には、2023年度の東大、京大、一橋大学では、以下のような二次試験問題が出題されています。

<東京大学 2023年度2次学力試験>

~中略~江戸で寄席が急増したのは、どのような理由によったと考えられるか。歌舞伎と対比される寄席の特徴に留意しながら、2行以内で述べよ。

<京都大学 2023年度入学試験問題>

中央ユーラシアの草原地帯では古来多くの遊牧国家が興亡し、周辺に大きな影響を及ぼしてきた。5世紀から12世紀におけるモンゴリア(〜中略~)の歴史について、遊牧国家の興亡を中心に300字以内で説明せよ。

<一橋大学 2023年度入学試験問題>

ジャンヌ・ダルクの活躍によっても有名ないわゆる英仏百年戦争(1337〜1453年)を、イギリスとフランスという二つの国家間の戦争と捉えることが必ずしも適切ではないとすれば、その理由は何か答えなさい。また、この戦争が結果的にフランス王国にどのような変化をもたらしたかを、上述の理由と関連付けて説明しなさい(400字以内)

問題を見てみてどう思いましたか?
教科書ではスペースの関係で、一問一答や他の多くの大学入試対策の問題集でも入試の出題範囲を超えるから書かれることの少ない「なんでこうなったの?」「どうして?」といった部分が、まさに求められる問題になっているわけです。

用語集の説明は、教科書の内容を大きく超えているのが実情です。
それは教科書などではその用語を十分説明できていないから、というのが理由にあります。
つまり、教科書や問題集だけで本当に地歴公共は分かったことにはならないのです。

ぜひ用語集を使う際には、「背景」を理解したうえで「自分だったらこの歴史的事象をどう解説するか」を文字に起こす練習を、ぜひ日頃から行っておくことをお勧めします。
お通いの学校の先生や塾の先生に添削をしてもらうことで、さらに理解が深まっていきますので合わせてお勧めしておきます。

理屈がついてくると理解できる・覚えやすい、といった皆さんにも、ぜひとも用語集を使ってみてください!

2.用語集を使わなくても良い人

共通テストのみで地歴公共を使う人

特に理系のみなさんに当てはまるのですが、共通テストのみで地歴公共を取る、特にその傾斜配点が小さいというみなさんには、用語集まで使わなくても十分対応できると考えています。


これは世界史、日本史どちらの選択でも同様のことが言えます。
もちろん、地歴公共をただの暗記科目として覚えるのではなく、その背景にあるストーリーまで理解したいというのであれば使っていただいても構いませんが、現実問題としてそこまで手を回す時間的余裕がない、というのがほとんどかと思います。

むしろ、共通テストの過去問演習や、共通テスト対策問題集・一問一答などを反復してやっていくことの方が共通テストでの点数は伸びるはずです。
どうしてもこの単語が気になった、という場合には、今の時代インターネットなどでいくらでも調べられるのが実情です。
欲しいな、と思わない限り、買う必要はないでしょう。

なお、私立大学を受験する予定の場合も、基本的には上記の内容が当てはまるかと思われます。大学の中には「誰が知ってるんだこんなの...!」と"重箱の隅"をつつくようなケースもありますが、そういった問題を解く力が必ず必要かというとそうでもありません。
ミスを減らし着実に正解を積み重ねる力を鍛えるほうが、むしろ合格が近づいてきますので、その意味でも、用語集の前に教科書レベルの基礎知識を徹底的に鍛えていった方が良いでしょう。

いわゆる「暗記」が得意な人

次は「暗記」が得意な人です。
上記にも書いた通り、どの大学を受験するにしても、絶対に必要となる力は「知識をすぐに引き出す力」です。まずは一問一答でキーワードをいつ訊かれても1秒以内に答えられるように、知識を暗記していくことです。
その点で、「背景知識やストーリーを深く知ることで暗記が進む」という人は用語集を使えば良いですが、「ある程度は難なく知識をインプットできるよ」という人は、用語集にそこまで執着しなくても良いでしょう。

ただ、暗記が得意、といっても様々です。
表面上のことだけで理解した気になってしまう傾向のある生徒さんもいれば、本当に「一を聞いて十を知る」というほどに理解力のある生徒さんもいます。
本当に教科書などを読んだだけでかなり奥深いところまで理解して十分入試に対応できるレベルなのであれば、用語集がなくとも問題ないでしょう。

なお、表面上のことだけで「理解した気になって終わってしまう」という自覚のある方は、用語集というよりも、まずは教科書をじっくり読むことの方を強くお勧めします。
何度も言いますが、用語集はあくまで「教科書レベルの内容・ストーリーでは理解しきれないものについて読み解くものだと考えてください。
そのためにはまず、教科書レベルをある程度マスターしておく必要があります。

なお、用語集を上手く使って暗記を得意にしていく方法を最後にご紹介しておきます。
「暗記が苦手」という人の多くは、その知識を「記号的」にしか捉えられていない人が多いです。
これは英単語や古典単語、歴史、生物や化学など、あらゆる「暗記モノ」に共通して言えることです。
人間の脳は「無意味な情報」を長期的に保存しておくことが苦手であると言われており、必ず何等かの「意味」を付与することが重要となります。
たとえば知識を覚える際に「具体的な映像に起こすように意識をする」などがありますが、今回お話に登場した「文脈やストーリーを追う」というのもこれに該当します。

特に社会の場合は、英単語や古典単語と異なり、知識と知識が「点」ではなく「線」で繋がりやすい科目です。そうして「線で繋がった知識」は頭から抜けにくくなるのです。

たとえば、
「五大老」「関ヶ原の戦い」「前田利家」「征夷大将軍」と、キーワードをただ並べるだけでばらばらと覚えたとしても、長期記憶には結びつきにくいものです。
そこで、
「豊臣政権から徳川幕府への政権の移り変わりはいかに行われたか。」という問いを立て、
「五大老」「関ヶ原の戦い」「前田利家」「征夷大将軍」などのキーワードを繋げながら「解説を作るかのうように覚える(記述問題の回答を作るイメージです)」ようにすれば、暗記したものが頭から抜けにくくなります。(「マインドマップ」「ツリー式」という暗記法もこれに関連します)

大事なことは「用語集を使うべきかどうか」以上に「用語集も含め、自分に合った学習スタイルをどう確立するか」です。

最後に余談ですが、近年では、様々な用語集が登場していて、特に政治経済などは山川出版社のものだけでなく、清水書院のものもかなり上手く作られているなと感じています。悩んでいる人はぜひ本屋さんで一度手にとって考えてみるのもいいかもしれませんね。

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