青山学院大学志望で高2、文系で世界史・日本史選択なのですが、受験勉強をするにあたってこれらの教科の自分なりのまとめノートなどは必要でしょうか?
それとも、山川の教科書やその他の参考書だけで大丈夫でしょうか?
まとめノートを作る場合は作り方のコツなどもあったら教えて欲しいです。
現在高2ということですが、高2で社会科の対策にまで目が向いている時点で優秀かもしれませんね。
時期的にまだ余裕はあると言えますから、色々な方法を試してみるのも良いかもしれません。
さて、その上で、それぞれのメリット・デメリットを考えつつ、果たしてまとめノートを作るべきなのか、作るとしたらどんなものが良いのかをご紹介します。
1.受験対策用のまとめノートとは
ここの前提がずれているとこの後の話は全く意味がなくなってしまうので、まずは私の考えるまとめノートとは何か、と言う部分について記します。
まず「まとめノート」と言うくらいですから情報がまとめてあることが前提です。
授業ノートやプリント、教科書の内容、資料集まで、それらに載っている情報を一つにまとめるのがまとめノートです。
もちろんその他の参考書まで参照しても構いませんし、むしろその方が理想的です。
続いて、あくまでもノートな訳ですから「あとで復習すること」が前提にあります。
つまり後から読めないような字で書いたり、およそまとめているとは言えないような雑多な情報整理の仕方がなされていてもよくありません。
理想的にはそのノートをそのまま参考書として使える状態を目指してください。
そうでなければわざわざ手を動かしてまでまとめる必要は(手を動かして覚える、と言う点を除いては)あまりありません。
また、当然ながら、最初にまとめノートを作る段階では全ての情報を綺麗にまとめることはできないでしょうし、後から学校や塾で新しい知識を得ることもあるでしょう。
後から書き足すことを前提に、少し余白を残しておくのも重要かもしれません。
2.ノートを作るメリットと問題点
ノートを作るメリットは、まず作る段階で考え手を動かすので覚えること、授業のプリントや教科書、参考書の内容を自分の言葉で整理しているので復習がしやすいこと、などがあります。
つまり一度作ってしまえばそれをもとに今後の勉強を進めていける、というのがメリットになります。
その意味では特に高2の時期にまとめノートを作り始めるのはぴったりで、一度もとになるまとめノートを作った後、それをもとに今後の学習次第でどんどん改良していくことができます。
受験直前まで改良を続けていくことで、入試の直前にはどの参考書よりも頼りになる自分だけの一冊ができます。
また、ただ参考書と全く同じまとめ方をするのでも良いですが、出来れば自分なりに考え理解したものを"カタチ"にするのが理想的です。真っ白なページを前に「歴史の事項をどうまとめると良いだろう...?」と思考することは、ただ暗記事項の復習になるばかりではなく、「時代」「特徴」「重要ポイント」「補足」など、さまざまな「構造」を考えるきっかけになります。これは「ラベリング」という思考フレームの一種で、「ラベリング」をすることで、人間の脳がより強く理解しようとし、記憶の定着にも寄与する効果が期待できます。
一方で、まとめノートのデメリットも認識しておきましょう。
この手法のデメリットは、なによりもまず時間がかかることです。
教科書、ノート、資料集、参考書などの情報を一つにまとめるにはかなりの時間と根気が必要です。
部活動や学校や塾から出される宿題、受験に向けた勉強、趣味の時間など、他にも「時間を
使いたいもの」はたくさんあるはずです。
また、時間をかけずにただ書き写したところで、まとめノートの効果はあまりないと言っても良いでしょう。上述の通りまとめノートを作ることのメリットは、書き写す作業そのものより、どこからどの情報を持ってきてどういう言葉でまとめるか、つまりノートを作る過程にあります。短時間で適当に作ったまとめノートにあまり効果があるとは思えませんし、そもそも受験用ともなれば、定期試験とは違い相当の時間がかかります。
そんな中時間がないのにあえて教科書ないし参考書の文言を写すのは時間の無駄です。
「トータルでどのような一週間を過ごすべきか」「そのなかで歴史の勉強時間はどれくらい猶予があるか」「歴史の時間を有効に使うために、自分にあったやり方は何か」という順で考えながら、まとめノートを実践すべきか検討することをお忘れなく!
3. ノートを作った方が良いと思われるケース(まとめノート作りに向いている人・いない人)
今までの話をまとめると、まとめノートは作るのに時間がかかる上、しかもただ教科書を書き写すだけでもいけないということです。
ではいったいどういう人がまとめノートを作るのに向いているのでしょうか?
もちろん作った以上は全く何も得られないということもないのですが、基本的にまとめノートを作ったほうが勉強が捗ると考えられるのは以下のような人だと考えられます。
①時間があって、
②言語化すると思考の整理が捗り、
③凝りすぎない人
と言えるでしょう。
①の「時間がある」が、まずは最低条件です。
時間がないのにまとめノートを作り始めると、最悪の場合ノートは完成しない上に内容は定着しないでなにもいいことがなくなってしまいます。
この勉強方法を実践する時期の目安は、遅くとも「高3の夏まで」だと思っておいてください。
高3の夏以降になると、社会に使う時間(使わざるを得ない時間)が増えるとは思いますが、だからといってそこでノート作りをはじめてしまうと、ノート作りの先にある知識のインプットという目的が果たせないまま終わってしまいます。
時間がないのであれば時間がないなりのやり方をするべきです。
②は「そもそもノートをしっかり作るのが好きなタイプかどうか」という問題です。
勉強の仕方というのは人それぞれありますが、その中でも自分の理解したことを整理してノートに書くというやり方が好きな人でないとノート作りに挫折してしまうでしょう。
ちなみに他のタイプは例えば授業内容は聞いただけで覚えてしまう人とか、プリントにメモ程度に書き込むので十分とかいろいろな人がいるでしょう。
③の「凝りすぎない人」というのはまとめノートを作る上では大事なポイントになってきます。
そもそも人間の持つ特性の一つに、「良いものを作ろうと思い始めると、無限に時間を投下してしまう」というものがあります。たしかに「完成度が高いものを作れる能力」はとても重要ですし、受験でも大事なことなのですが、それ以上に重要なことは、「まとめノートを通じて達成したい目的は何か?」です。あまりにも時間をかけすぎると(たとえば見た目を良くしようと何色もつかってカラフルにしてみたりと工夫をして、気付けば1時間過ぎていた...など)、目的からズレていたとすれば目も当てられないことになります。
よく陥りがちなのは、気付けば「歴史の暗記度・理解度を向上させる」という目的から、「他人に自慢できるノートを作ること」という目的にすり替わってしまい、完成させたとしても残ったのは"カラフルなノート"だけで、頭には何も入っていない...なんてことになりかねません。
難度も言うように、目的はあくまで「整理すること」です。
必要以上にこだわりすぎない性格のほうが、あまり時間をかけずにまとめノートが作れるので適していると言えるでしょう。
逆にここまでの3つに一つでも当てはまらないものがあったら(特に①の時間は気をつけるべきです)、まとめノートにこだわらずに他の自分にあった勉強法を探してみるのが良いかもしれませんね。
4.おすすめのまとめノートの作り方
さて、ここまでお話をしてきましたが、「まとめノート」といっても色々なスタイルがあると思います。ここでは私自身が実際に受験生の時につくった日本史のまとめノートの例を紹介したいと思います。
基本的には授業をベースにして、授業プリントを参照しつつ、ノートの見開きページの左側に重要事項を書きます。
そして右ページに資料集から地図を引っ張ってきて、位置関係などをまとめたり、図や年表にして整理したりといった感じで作っていきました。
特に日本史の場合は、自然地形や都道府県などの地理的情報が頭に入っていないと、どうしても「歴史的キーワード」を「理解」のレベルまで持っていきづらいものです。だからこそ、実際に手書きで地図を書いてみたり、白地図を使うなどしてみると良いと思います。
日本史の勉強は、「各時代の特徴」を大枠→細部という順で理解していくことが重要になります(イメージとしては、大枠="木の幹"、細部="枝葉"、大枠に繋がる重要な背景情報="木の根"というイメージでしょうか)。ぜひこういったものを参考に、「どのようにまとめると良いか」を自分なりに考えてみてください。
5.まとめノートを使わない場合の対処法
さて、では逆に、「まとめノートに向いていない人」はどうしたら良いのでしょうか。
最初に注意ですが「まとめノート」を使わないだけであってノートを一切使わないのはよほどの天才でない限り無理があります。
学校や塾の授業ではしっかりノートを取ってください(教材に書き込む、とかはもちろんありです)。
その上で、まとめノートを使わない勉強法を紹介します。
よくやるのは、教科書や参考書にマーカーを引いて覚えるタイプの勉強法です。
マーカーを引いただけで満足していると何も頭には残りませんが、自分の頭の中でのまとめ作業(すなわちどこが重要なのかを判断するという作業)の結果としてマーカーをひいていけば問題はありません。
同じマーカーでいくとチェックペン(赤または緑のペン)を使って赤(緑)シートで隠すと言うパターンもあります。
前者はフレーズに対してマーカーを引くことで教科書・参考書の内容を視覚的に整理するのに、後者は主に単語の暗記に有効です。
これらの勉強法の最大のメリットは時間がかからないことです。
まとめノートを作る時間に同じ参考書をおそらく3周くらい読むことができるでしょう。
したがって特に時間のない受験生が日本史・世界史の通史を把握するには、まとめノートを作るよりも、以下にあげるような初学者向けの通史用の参考書を何周もした方が良いでしょう。
日本史なら
- 野島博之『詳説 日本史ハンドブック』(山川出版社)
- 金谷俊一郎『金谷の日本史 「なぜ」と「流れ」がわかる本』(東進ブックス)
世界史なら
- 鈴木敏彦『これならわかる!ナビゲーター世界史B』(山川出版社)
- 荒巻豊志『荒巻の新世界史の見取り図』(東進ブックス)
(他にもたくさんあるので、書店で実際に手にとって気に入ったものを購入すると良いでしょう)
以上、まとめノートについて書きましたが、いちばん大事なのは自分にあった学習法をすることです。
ノート作りが面倒だなともうならあえてする必要はありませんし、自分で作るまとめノートよりも優秀な参考書はいくらでもあります。
ノートを作ったほうが覚えやすいという場合は、(時間の許す範囲で)ノート作りをしてもらえればと思います。
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