国立大学を目指すメリットとは?志望校を私立に絞るのは良くない?

国公立大学の入試対策ポイント
国立大学を目指すメリットとは?志望校を私立に絞るのは良くない?

文系の受験生ですが志望校を私立だけに絞ろうか迷っています。
今まで国立大学の受験を考えていたのですが、どうしても数学が苦手です。
数学や理科のセンター対策に時間を取られるよりも、国語と社会に絞って勉強した方が良いのではないかと思っています。
でも、親や先生は国立を目指した方が良いと言っています。
やはり国立大学の方が良いのでしょうか?
また、私立だけに絞ってしまうのは良くないことでしょうか?

今回は「国立大学を目指すメリットはあるのか」についてお話ししていきます。

ご相談者のような悩みを抱える受験生は多いのではないでしょうか?
「これまで国立大学を目指して来たけど、求められる教科の数が多くて大変...」
「共通テストと二次対策、両方やれる自信がない...」
「必要な科目数が少なくて済む私立大学に絞った方が、まだ良いのでは...」と悩む人。

ただでさえ大変な大学受験勉強。科目数も多いし、共通テストと二次試験両方クリアしないといけないというプレッシャー...。痛いほど気持ちは分かります。
私自身、受験時代ではやらねばならないことの多さに、何度も投げ出したくなりました。

しかし、周りの人々は「あきらめず、国立大学を目指した方がいい」と言います。
本当に大変な思いをしてまで、国立大学を受験するメリットはあるのでしょうか?
受験で何か有利になることはあるのでしょうか?

今回はこれらの点を解説していきます。

国立大学を志望するメリット

1. 私大専願にするより本質的な学力がつく

いかにも先生が言いそうなことですが、実はこれ、ものすごく重要なんです。

国立大学と私立大学の違いの1つとして「問題の質」が挙げられます。

受験へ向けて知っておきたい「入試問題で求められている力」
皆さんは国立大学の問題と私立大学の問題を両方解いたことがあるでしょうか?

数学などは分かりにくいですが、特に国語や社会などで、国立大学の問題と私立大学の問題とでは大きな違いがあります。
それは、国立大学は論述式問題が多いのに対し、私立問題は記号選択式が多い、ということです。

論述式問題は、自分の頭で、問題の全体像を捉えながら、知識を頼りに思考し、論理を組み立て、言葉に起こす作業が必要になります。
この力こそがまさに「本質的な学力」なんです。

この「本質的な学力」というものは、今の時代国公立大、私立大関わらず重要視している力です。
近年では、私立大学の入試問題でも、「単に知識があるかどうかを問う」のではなく「複数の知識を繋げ"考える力"があるかを問う」ケースが増えてきています。

もちろん「知識力」、言い換えれば「単に知識を持っていれば、即座に正解に辿り着ける力」も求められます。これは国立大、私立大を問わずです。知識を持てていることは間違いなく重要ですし、受験合格を支える「土台」であることは間違いありません。

しかし忘れてはならないのは、「知識力だけでは、受験生同士の差がつき辛くなってきている」ということです。
知識だけで解ける問題は落とさない、そのうえで、本質的な学力が求められている問題をどれだけ正解できるか、そこに勝敗の差があるのです。

だからこそ、「科目の得意不得意や好き嫌い」「受験に必要な科目数」だけで安易に受験先を考えるのではなく、実際に入試問題を自分の目で見てみて、「どんな力が求められているのか」「それはどんな努力によって得られるのか」を考えるようにしましょう。

1-2. 私大よりもリカバリーが効く

受験生が国立大志望か私大専願か悩む最大の理由はおそらく「科目数」でしょう。
現に今回の相談も「数学が苦手」だから、科目を絞ったほうが受験合格率が上がるのではないか...というものでした。

たしかに、科目数は少ない方がその分1科目にかけられる時間が長くなり、合格する確率が上がる...そんな気がしますよね?

この疑問について、一緒に考えていきましょう。

確かに特定の科目に注力する事で「点数」は上がるかもしれません。
しかし、よく考えてみてください。
受験は相対評価です。

受験は相対評価、つまり「他の受験生より良い点を取る」ことが合格する上で必要になって来ます。
「科目数を絞った方が点数が上がる!だから私大専願にする!」という人達が私大の受験会場ではたくさんいます。
みんな同じ科目数だけを集中的に勉強してきているんです。

ということは...もうお分かりですね。
そう、結局みんな同じように科目数を絞って勉強しているので、科目数を絞って点数が上がったからといって、結局相対的な順位はあまり変わらないのが事実なんです。

ただ、上記の事実に関しては国立大も私大もさほど変わりません。
では科目数が少ないと何が問題なのかというと、ある科目で失敗した時にそれを取り戻す手段が圧倒的に少なくなることなんです。
例えば受験当日、1日目の国語を受けている最中にお腹が痛くなったせいで大幅失点。
やばい、どうやって挽回しよう...?こんなことが起こったとします。ここで、科目数が少ないとどうなるでしょうか?

例えば、この失点を合格点-30点だったとします。
その場合、5教科で受けていれば、単純計算で1科目あたり7~8点挽回すれば良い。
おおよそ小問2~3問ぐらいです。
これならなんとか挽回できそう。

しかし、2科目しか受験していないとどうでしょう?
なんと、1科目で挽回すべき点数が30点になってしまいます。
過去問ではいつも「100点満点中70点をとっていた」となれば、
満点近くを狙わないと、合格が厳しくなるというわけです。


さて、これまでお伝えしたような話は、皆さんも何度も聞いたことがあるかもしれません。
しかし、もう少し具体的な「受験ストーリー」に踏み込んで考えてみましょう。
より事の重大さが伝わるかと思います。

ある生徒の事例をご紹介します。

結果からいうと、彼は浪人しました。
現役時は京都大学の経済学部を理系受験していました。
この学部の入試はかなり特殊で、二次試験で必要な科目は「英数国」のみ(ただし数学は数Ⅲまで必要です)。
ほぼ私立と同じでした。
そして彼がここを目指した理由も皆さんと同じ、「理科は嫌だ!やりたくない!」でした(理科が嫌いなのに何故理系を選択したんだ、とツッコミたくなる気持ちは抑えましょう)。

しかし、これが悲劇の始まりでした。
彼は英語が大の苦手。
2次試験で受けられるのはたった3教科なので、苦手な英語をカバーするためには、数学で平均+1問を「完答」することが必要でした。
しかし本番では、得意なはずの数学で思いっきり手こずり、点を稼ぐことに失敗...。
結局6点差で不合格。

しかも、英数国しか勉強していないので、併願で受けられる私立も、後期入試で受けられる国立大もほとんどありませんでした。
結果、前期1本で勝負を決めるしかなくなり、落ちて浪人、というわけです。

その後彼は浪人中に文転し、最終的に5教科7科目で東大受験を乗り切りました。
この時も英語は大の苦手でしたが、今回は英語の失点を数学と社会に分配できたため、リカバリーもそこまで困難ではありませんでした。
合格を知った後、彼は振り返って「なんで現役の時、理科受けなかったのだろう...」と後悔していました。

科目数が少なくなると、このような恐ろしいことが起こるのです。
だからこそ、科目数が多ければ多いほど、ある教科で失敗した時にリカバリーが効くのです。
だからこそ、受験科目数が多い方がメリットが大きいのです。

「でも、やっぱり苦手科目を受験で使うのは怖い...」という人もいるかもしれません。
ですが、ご安心ください。
国立大を目指す人も、みんな苦手科目があります。

例えば相談者さんのように数学が苦手な人もいれば、英語が苦手な人もいる。
全部できるオールラウンダーなんてほんの一握りなんです。
しかも、受験は合計点の争い。
だから、別に苦手科目を受験に使ったってあんまり差がないんです。

重要なことは、他の教科で苦手な分を、取り戻せるだけの力があるかどうか。
相談者さんはおそらく国語と社会が得意かと思いますが、国語と社会で苦手な数学の点数分をしっかり回収できる力があれば、むしろ数学も使って受けた方が成績が安定し、合格率が上がるんです。

以上2つが、国立大志望で勉強する大きなメリットになります。
これで「私大専願より国立大志望の方がお得」ということがご理解いただけたかと思います。

さらにもう1つメリットを付け加えるとすれば「学費」です。
学費は国立大学の方が圧倒的に安いんです。
どれぐらい違うかというと、文系だと卒業まで国立大と私大では学費で約140万円の差があると言われています。
国立大に進んだ方が経済的には負担は減る、といえるでしょう。

相談者さんも、私大専願にするか悩むみなさんも、国立大を目指して見てもよいのではないでしょうか?
みなさんの大学受験が成功することを祈っています。

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また人材開発の専門家であるモチベーションアカデミアの講師から指導を受けることで、自らを律し・計画的に目標を達成する力・モチベーション高く挑み続ける心が育まれます。
この2つの「勉強の仕方」と「学習習慣」を獲得することで、国公立大受験に必要な、確かな「思考力・表現力」を鍛えます。

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