志望学部が決まっていないが高2の文理選択で選択する科目は?

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志望学部が決まっていないが高2の文理選択で選択する科目は?

中高一貫校の高校1年生です。クラブは入っておらず、将来したいことが決まらないため大学もどこに行きたいというものがありません。
現在苦手科目のみ少人数個別に通っていますが、文理選択でこれから他科目も取らなくてはいけないのではと親が焦っています。
どのように文理や科目を選択し、進めていけば良いでしょうか。

志望学部が決まっていないが高2の文理選択で選択する科目は?

中高一貫校の高校1年生です。クラブは入っておらず、将来したいことが決まらないため大学もどこに行きたいというものがありません。
現在苦手科目のみ少人数個別に通っていますが、文理選択でこれから他科目も取らなくてはいけないのではと親が焦っています。
どのように文理や科目を選択し、進めていけば良いでしょうか。

高校や大学で学ぶ内容が変わるだけでなく、場合によってはその先の職業にも大きく関わる選択ですので、しっかり先のことまで考えた上で選択できるようにしたいですよね。
この記事ではまず文理選択がどのような影響をもたらすのかを紹介し、その後に文理及び選択科目を決める際のポイントについて説明いたします。

1.文系、理系の違い

そもそも文系と理系は何が違うのか、それぞれを選ぶと何が変わるのかを、「学問分野」、「入試科目」の2つの観点からお話ししましょう。

1-1.学問分野の違い

大学で学ぶ学問分野は大まかに人文科学(文学、歴史学など)、社会科学(経済学、法学など)、自然科学(工学、医学など)と3つに分けられますが、このなかで人文科学と社会科学を文系、自然科学を理系と呼んでいます。

<参考:代表的な学問名称>

文系
経済学、法学、政治学、商学、社会学、文学、史学、言語学、教育学など
理系
理学、工学、農学、医学、薬学、歯学など

このように、文系と理系のどちらを選ぶかによって学ぶ内容に違いが出てきます。
もっとも、学問分野は複雑に関連していますし、最近は文理融合型の学部も増えてきていますので、あくまでも参考程度の分類と捉えた方が良いでしょう。
例えば「人の記憶について学びたい」と思ったときに、学問分野としては脳科学や認知心理学がありますが、前者は理系の学部、後者は文系の学部で学べるようになっていることが多いです。

1-2.入試科目の違い

次に、大学受験における入試科目の違いについてお伝えします。
まず、2025年度入試から新課程に対応する関係で、教科名や内容が大きく変わった点に注意が必要です。
そして、国公立大学は共通テストの点数と、大学独自の試験の2つを受けて合否が決まりますが、私立大学は大学毎の試験のみで合否が決まりますので、国公立理系、国公立文系、私立文系、私立理系のそれぞれについて必要な科目を整理すると、以下のようになります。
※大学によって選べる教科やその数は変わります。

国公立理系
共通テスト...英語、数学IA、数学IIBC、国語、理科×2、社会×1、情報
二次試験...英語、数学(IA,IIB,IIIC)、理科×2
国公立文系
共通テスト...英語、数学IA、数学IIBC、国語、理科基礎×1、社会×2、情報
二次試験...英語、国語、社会(科目数は大学によって異なる)
私立理系
大学別の試験...英語、数学(IA,IIB,IIIC)、理科(科目数は大学によって異なる)
私立文系
大学別の試験...英語、国語、社会(科目数は大学によって異なる)

このように、文系理系ともに英語は必須で、その他で理系ならば数学と理科、文系ならば国語と社会が入試において重要な科目です。
また今年度から共通テストでは新教科として情報が加わりました。そのため国公立大学を受験する方は6教科8科目が必要になってきます。
国公立文系の理科基礎に関しても、従来は「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目から2科目選ぶのが一般的でしたが、2025年度以降の共通テストでは「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」としてまとめて1科目の形で出題されることになるなど大きな変化が見られます。(ただ国公立文系を志望する受験生の多くは4分野の中から2分野を選ぶことになるため、実質的には従来の制度と変わりません。科目数の数え方が変わったという話です)

なお上記で挙げたのはあくまで原則であり、大学によっては理系でも二次試験で国語を要求されたり、逆に文系で数学を要求される例があります。そのため具体的に行きたい大学がある場合は今のうちに調べておくといいでしょう。

2.文理選択の考え方

さて、ここまでお話してきた内容を踏まえて、ここからはどうやって文理を決めればよいかについて考る際のポイントをお伝えします。

2-1.将来の夢・職業から決めるのが良い?

一番わかりやすい決め方は、「医師になりたいから理系(医学部)」「弁護士になりたいから文系(法学部)」など、将来の夢から逆算して決めることでしょう。
しかし、将来の夢なんて全然決まってないという人も多いでしょうし、仮に決まっていたとしても大学の学部と直結しないこともあると思います。実は、上に挙げたような、特定の学部を卒業しないと就くことができない職業、取ることができない資格があるのはレアケースです。(ちなみに医師は医学部の卒業が必須です)
経済学部を卒業して経済のスペシャリストとして生きていく人はほとんどいません。
そういう点では、将来の夢を考えても、文理選択の決め手にはなりにくいと言えるでしょう。

2-2.好きな教科や得意な教科で決めるのが良い?

もう一つよくある決め方は、「数学が苦手だから理系」「社会が得意だから文系」など、今の得意教科や好きな教科で決めるパターンです。
先述の通り、文系理系で入試科目は異なりますし、入試で高得点を取らないと大学に入れないため、理に適った考え方ではあります。
しかし、得意・不得意だけで決めると、後々困ることになるかもしれません。
高校3年生になってよくある相談が、「社会が得意で文系にしたものの、行きたい学部がない」といったものです。
文理選択で少し選択肢は絞られるものの、最後に出願して受験する際には特定の学部に決めなければなりません。
しかし寝る間も惜しんで勉強したい時期になってから学部を考えるのは大変です。
得意教科だけで決めるということは、実は決断を先延ばしにしているだけで、あまりオススメできる決め方とは言えないのです。

2-3.原則は学びたい学問分野で決めよう!

では文理選択は何で決めるのが一番良いのか。
それはやはり「学びたい学問分野」で決めることでしょう。
自分自身が今興味のあるもの、より深く学んでみたいと思うものから学部を決めて、そこから文理を決めていくことが、後悔しない選択の秘訣です。
大学での勉強も充実したものになりますし、そこまでの受験勉強のモチベーションも高く保つことができます。
もちろん、いきなり「学問」とか言われてもよくわからないという人も多いでしょう。
しかし、分からないからこそ、まだ時間のある高校1、2年生のうちに考えておいた方が良いのです。
実は「学問」は世の中の物事のほとんど全てに存在しています。
皆さんに身近なものでいうと「マンガ学」や「恋愛学」なんてものもあります。
法学とか工学とかには興味が湧かないという人も、調べてみると「学びたい!」と思える学問が見つかるかもしれません。

2-4.学問分野を決めるステップ

ではどうやって考えていけば良いのでしょうか。
まず最初にやるべきことは、とにかく興味関心のあるものをリストアップすることです。
勉強しているものでも良いですし、それ以外でも良いでしょう。好きな教科の延長線にどのような学問分野が広がっているのか調べてみるのもおすすめです。
先程挙げたように「マンガ」や「恋愛」も学問の対象ですので、こんなこと絶対に大学でやらない、と決めつけずに、挙げれるだけ挙げてみましょう。
普段「面白いな」と思ったり「なんでだろう」と思うことをどんどんリストアップしてください。
その次には挙げたものに関連する本や雑誌を読んでみましょう。
テレビや映画もありです。その中で学問と結びつけるコツは、著者や話者の経歴を見てみることです。
特に本は大学の教授が書いていることも多いので、その教授について調べることで学問分野がわかることも多いです。
このような手順で興味分野がいくつか見つかればOKです。
学部を決め切るには更に深く理解する必要がありますが、文理の選択だけならこの時点である程度きまってくるのではないでしょうか。

2-5.それでも決まらない場合は

文理選択の考え方について述べてきましたが、それでもなお決められないという人もいるかもしれません。
大事な決断ですので、そう簡単には決まらないものです。
まずは、上に書いたように、しっかりと調べて考える時間を取ってみてください。
しかし、どうしてもすぐに決めなければならない状況にある人は、一旦好きな教科で決めてください。
受験に向けて長時間向き合わなければならない教科を絞り込むわけですので、現時点での得意・不得意よりも好き・嫌いの方が重要です。
また、今の得意不得意も、テストの難易度でそう思い込んでいるだけということもあります。
ですので、高校1年生の時点であれば、好きな教科で決めるのが一番無難です。
ただ、それで一旦文理選択を乗り切ったとしても、学問分野を考える時間は必ず作って欲しいと思います。

3.選択科目の選び方

最後に、文理と合わせて決めなければならない、理科と社会の選択科目についてお伝えします。
ここで重要なのは、「大学入試で何が使えるか」です。
大学によって選べる科目には制限がありますので、それを踏まえて文理別におすすめをお伝えします。

<理科、社会の科目一覧>

理科
「物理」、「化学」、「生物」、「地学」
「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」
社会
「地理総合、地理探求」「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」
「地理総合/歴史総合/公共」「公共、倫理」「公共、政治・経済」
※2科目必要な場合、「公共、倫理」「公共、政治、経済」の組み合わせは不可

3-1.文系の場合の選択科目

国公立文系志望の場合、一般に共通テストで社会から2科目選択することが求められます。
そして「地理総合、地理探求」「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」の中から2科目選ぶ受験生が多いでしょう。理由としては「公共」や「政治経済」では二次試験を受けられない国公立大学が多いということが挙げられます。また私立大学の場合、個別試験の社会科目の中に「地理」がないという大学も意外と多いです。
このことから、明確に行きたい大学・学部が決まっている場合以外は、世界史・日本史から少なくとも1科目選んでおくと基本的に困ることはないでしょう。
また、共通テストで用いる理科基礎は、どこの大学もすべて使えますので、得意不得意や好き嫌いで選んでしまって構いません。
大まかには、数学が得意な人は化学と物理が、暗記が得意な人は生物と地学がおすすめです。

3-2.理系の場合の選択科目

理系学部の場合、文系学部に比べて入試で使える科目が指定されている場合が多いです。
例えば工学部や理学部の場合は物理や化学のいずれか、あるいは両方が指定されている場合があります。薬学部であれば化学が指定されている場合が多いでしょう。
また医学部や農学部などは生物も使えますので、それらの学部に進むことを決めている場合は生物を選択するのもアリです。
ただ地学に関しては、もちろん使える大学はありますが、そもそも学校で選べないことも多く、参考書等の情報も他科目に比べると極端に少ないため、基本的には選ばない方が良いでしょう。明確に志望学部が決まっていない場合は「物理」「化学」を選択しておくのが無難です。
また、共通テストで用いる社会については、一番のおすすめは「地理総合、地理探求」です。理系学部の場合基本的にどの大学でも使えることと、歴史系の科目に比べると覚えることが少なくてすむというのがその理由です。
もっとも、記憶力には興味関心の度合いも大きく関わりますので、他の科目も好きであれば選択して構いません。ただ「公共、倫理」「公共、政治・経済」は使える大学が限られるため、基本的には「地理総合、地理探求」「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」の中から1科目選ぶのがおすすめです。

4.終わりに

今回は文理選択及びその際の科目選択についての考え方を紹介しました。
どちらにおいても重要なのは「共通テストや各大学の入試制度を下調べしておくこと」、そして「しっかり時間を作って考えること」です。
いきなり決断を迫られても大丈夫なように、常日頃から関心のあるものや興味のある大学についての情報収集を怠らないようにしておきましょう。
納得のいく、安心できる選択をした上で、受験勉強に取り組んでいってください。

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