東大を目指している文系の受験生です。
世界史の論述問題に取り組もうと思うのですが、論述問題はいつからどのように対策すれば良いですか?
いい勉強方法や参考書などがあれば教えてください。
東大の問題は、他の大学の入試問題と比べて論述が大きな割合を占め、東大入試を突破するには、論述問題を攻略することが非常に重要になってきます。
ただ、いざ世界史の論述対策をしようと思っても、どうやったら論述問題ができるようになるか、手取り足取り書いてある参考書はなかなかないものです。
これから、どうやったら世界史の論述問題ができるようになるか見ていきましょう!
1.東大世界史の特徴
東大世界史の論述問題の攻略法についてみる前に、まず、東大世界史の問題がどのような構成になっているかみてみましょう。
出題傾向として、例年、東大の世界史の問題は大問3問構成となっており、
【第1問】:400-500字程度の論述問題1題のみ
一般的に「大論述」と呼ばれるものです。
字数や出題の切り口こそ毎年変わるものの、第1問が、字数の大きい論述であるという出題傾向は、近年ほとんど変わっていません。
【第2問】:60-90字程度の論述や記号問題を含む、小問集合
第2問は、第1問と比べると、問題の傾向が変わりやすくなっていますが、大体、60-90字程度の記述問題が数問出ることが多いです。
【第3問】:小問集合
基本的に、一問一答問題が10-20問出ることが多いです。
以上で見て分かるように、東大世界史の論述は、【第1問の大論述】と【第2問の短い論述】の2つをマスターする必要があるのです。
ただ、この2つは、同じ論述といえど、問題の性質や必要な力が大きく変わってきます。
以下で、それぞれについて詳しく見てみましょう!
2.東大世界史第2問の攻略
まず、第2問タイプの論述の問題の対策について考える前に、1問過去問を見てみましょう。
以下の(a)・(b)の問いに、冒頭に(a)・(b)を付して答えなさい。
(a) 他のゲルマン諸部族の王の大部分は、当時どのような宗教を信仰していたか、60字以内で説明しなさい。
(b) このメロヴィング朝の王は、どのような宗教に改宗したのか、この王の名前とともに、60字以内で説明しなさい。
この問題、皆さん分かりますか?
世界史の時代をある程度学んだことがあれば、見たことがある単語ばかりで、「あれ、意外と分かるかもしれない!」と感じるのではないでしょうか?
しかし、東大世界史の第2問の難しさは、「必要な情報を、正しい文脈で、限られた字数制限に盛り込む」ことなのです。
例えばこの問題の(a)なら、
どのような宗教、というのにだけ答えるとアリウス派、と答えるだけなのですが、これだけを解答すると、大幅に字数が余ってしまうので、「あ、これはアリウス派がどのような宗派なのかという説明が加点ポイントなんだな」と気づき、それについて、字数に合うように記述作成する必要があります。
そうすると
- アリウス派
- ニケーア公会議で異端とされた
- イエスに神性を認めない
などの要素を、いかに60字に盛り込むか?と字数を調整しながら記述を書くことになります。
また、
「アリウス派...何かの公会議で異端になったのは覚えているんだけど、どれだったっけ...」
と思った人も多いのではないでしょうか?
世界史を勉強しながらまとめを作成すると、覚えやすくなり、勉強したことの整理にもなるので、論述の対策としておすすめです!
この問題だったら、キリスト教の公会議について
ニケーア公会議:アタナシウス派を正統とし、アリウス派を異端とする
コンスタンティノープル公会議:テオドシウス帝が招集し、三位一体説を正統とする
エフェソス公会議:ネストリウス派を異端とする
カルケドン公会議:単性論を異端とする
のようにまとめることができますよね。
以上の内容をまとめると、
【東大世界史第2問のポイント】
- 字数から逆算して、解答に盛り込むべきポイントを列挙する!
- 「何を問われているか」から解答をぶらさない!
- トピックごとにまとめを作る!
のようになります。
3.東大世界史第1問の攻略
東大世界史の醍醐味は、やはり字数が圧倒的に多い第1問の「大論述」です。
大論述は、歴史の大きな流れでのあるトピックについての変化や、地域間での大局的な対比の問題などが出題されることが多く、なかなか付け焼刃で単語を覚えただけでは全く太刀打ちできません。
これについても、1つ問題を見てみましょう。
17世紀から19世紀までのこうした開発の内容や人の移動、および人の移動にともなう軋轢について、カリブ海と北アメリカ両地域への非白人系の移動を対象にし、奴隷制廃止前後の差異に留意しながら論じなさい。解答は、解答欄に540字以内で記し、必ず次の8つの語句を一度は用いて、その語句に下線を付しなさい。
アメリカ移民法改正(1882年) リヴァプール 産業革命 大西洋三角貿易 奴隷州 ハイチ独立 年季労働者(クーリー) 白人下層労働者
この問題を見て分かるように、
- 指定語句を使うように指示されている
- 問題文が非常に長い
といった印象を受けるのではないでしょうか。
問題文も長く、解答字数も多いとなると、どこから手をつけたら良いか分からない...となってしまいそうですが、
【東大世界史第1問のポイント】
- まず問題文をきちんと読んで、何を聞かれているのかをはっきりさせ、それを念頭に置きながら解答を作成することを心掛ける
- 指定語句から、どのような内容についてかけ良いのか当たりをつける
- 字数配分を考える
というのがポイントになります。
一つずつ見ていきましょう。
まず問題文をきちんと読んで、何を聞かれているのかをはっきりさせ、それを念頭に置きながら解答を作成することを心掛ける
問題文の前置きが長いため、この問題で何を書けばいいのか見失いがちになるかと思いますが、この問題で問われていることが、
- 「17世紀から19世紀の」
- 「開発の内容や人の移動」
- 「および人の移動にともなう軋轢について」
- 「カリブ海と北アメリカ両地域への」
- 「非白人の移動を対象にし」
- 「奴隷制廃止前後の差異に留意して」
であるということを見抜きましょう。
なので、16世紀の話をしたり、白人の移動の話をしても、全く加点されないのです。
指定語句から、どのような内容についてかけ良いのか当たりをつける
問題文で「非白人の移動について解答しよう」と思っても、いざ何を書こうかな?と、初めから解答をすらすら書き始めるのは難しいと思います。
この時、指定語句を見てみると、
- ≪カリブ海地域に関係する語句≫
- 大西洋三角貿易、ハイチ独立(リヴァプール、産業革命)
- ≪北アメリカに関係する語句≫
- アメリカ移民法改正、奴隷州、白人下層労働者(年季労働者)
となり、この語句をヒントに、書くべき内容が浮かび上がってくるのではないでしょうか?
字数配分を考える
以上で、この問題が
カリブ海地域←→北アメリカ
奴隷制下←→奴隷制解放以降
の2つの対立を踏まえながら書くべきであるということが分かります。
この際、それぞれについて、およそ字数が半分ずつくらいになるように記述解答を作成することを心掛けましょう。
ある1つのことにだけ偏って書いてしまっていては、他の大事な要素が必ず抜けてしまっているということですよね。
バランスを注意しながら書くと、最終的に素晴らしい解答が出来上がるはずです!
4.最後に
記述を書くにあたって重要なことは、まず、一つ一つの歴史の事項を理解することから始まり、それなくして世界史の論述を書くことはできません。
しっかり学習を積みかさね、最初は不慣れでも、とにかく書いてみましょう。
そうすれば、驚くほど論述の力が伸びると思います。
では、勉強頑張ってくださいね!
モチベーションアカデミアは、「国公立大二次試験対策」にこだわる塾です。
授業では、本質を問う訓練をくり返す「対話型授業」で基礎知識と応用力を身につけ、教わったことを「自分で使いこなす」という勉強の仕方を学びます。
また人材開発の専門家であるモチベーションアカデミアの講師から指導を受けることで、自らを律し・計画的に目標を達成する力・モチベーション高く挑み続ける心が育まれます。
この2つの「勉強の仕方」と「学習習慣」を獲得することで、国公立大受験に必要な、確かな「思考力・表現力」を鍛えます。
【動画】生徒のモチベ劇的アップ!週次面談チラ見せ
LINE公式アカウントでお届け!
勉強のやる気を持続させるには?
合格を左右する「確かな学力」を育むには?
237万人以上を支援する社会人教育の実績から得た知見で、受験に必要な「本当の力」を育む学習塾モチベーションアカデミアのノウハウが詰まったLINE友だち登録はこちら
お役立つ情報はメールマガジンでも受け取れます!