共通テストは過去問だけやればよい?

国公立大学の入試対策ポイント
共通テストは過去問だけやればよい?

電気通信大学、国公立理系を目指している高校3年生です。理系科目の勉強が手一杯で共通テスト対策の文系科目にまで手が回りません。
共通テスト対策は過去問だけやれば良いという人もいますが、実際はどうなのでしょうか? また何年分やれば良いのでしょうか? それとも過去問だけでは足りないのでしょうか? 教えてください。

いきなり過去問を解くのではなく、問題集を間に挟むとよいです。また、年数をこなすことを目的化しないように!

1. まずは基礎の定着から

一般的に、共通テストの問題は、基礎的な知識しか問われないと言われています。

教科書の範囲を逸脱した問題や、重箱の隅をつつくような問題はあまり出題されません。

問題文をよく読み、着実に論理を組立てていけば、誰でも解けるように問題が設計されているのです。

特に、共通テストになってからは、その傾向が顕著です。なかには、その分野の知識が無くても、問題文を読むだけで答えがわかってしまう問題さえあります。

その意味では、「予備校の授業をがっつり取って」といった対策までは必要はないのですが、やはり基礎が定着していないことには、太刀打ちできません。

英語・古文なら単語や文法、社会系の科目なら基礎的な用語を身につけておくことが重要です。

リスニングに関しては十分な対策が必要でしょう。二次試験対策では疎かになりがちですが、共通テストにおけるリスニングの配点は以前より大きく、また問題も確実にバージョンアップしてきています。

さらに、2025年からの「情報」や「歴史総合」などの新科目へのキャッチアップも重要です。ネットの憶測に惑わされず、信頼できる参考書を入手しましょう。

2. 単元別の問題集→過去問の順に

それが身についてはじめて共通テストの対策となるわけですが、いきなり過去問に手を出すのがベストかというと、必ずしもそうではありません。

というのも、過去問は全範囲からところどころが出題されており、網羅的でもなければ系統立った作りでもないからです。

実力把握のための診断ツールとしては有効ですが、実力を伸ばすための練習問題としては、必ずしも有用だとは限りません。

したがって、各予備校や出版社から出ている、共通テスト向けの問題集を手始めにはじめることをおすすめします。

これらはたいてい、分野ごとに章立てがなされており、またその分野で出題される問題のほとんどのパターンを網羅しています。

したがって、抜けなく漏れなく対策をしたいのであれば、過去問より先に問題集をはじめましょう。過去問演習の目的はあくまでも実力診断であるということを忘れないでください。

3. 何年分やるかよりも、同じ年度の過去問を何回解くかが大事

先ほども述べましたが、過去問演習は実力診断には適していますが、実力の醸成に活用するのにはなかなか難しい部分があります。

よくありがちなのが、赤本を買って、掲載されている年度分を一周解いて、それだけで満足してしまうというパターンです。

過去問ですから、当然結果(点数)が出ます。その点数に一喜一憂して、それだけで演習を終わらせてしまう生徒も多いのですが、これでは「成長」はほとんど望めません。

なぜなら、学力の向上は「今までできなかったことができるようになる」ことにあるからです。間違った問題の解説を熟読し、時間をおいて解き直しをして、それができるようになったことを確認して、それではじめて過去問演習も実のある勉強になるわけです。

なので、「とりあえず一通り解く」という考え方は改める必要があります。

むしろ、扱う年数を減らしてでも、同じ年度の過去問を何度も解き直してあげることが重要です。

おそらく、1日後にもう一度解き直してみても、そう簡単に100点は取れないはずです。何度も繰り返し解き、自分が扱った過去問の問題はすべて完璧に解けるようになっている状態が理想です。

4. いつまでも共通テスト対策にこだわりすぎない

国公立を受けるのであれば、共通テストはかなり重要な位置を占めてきます。ですが、当然二次試験も重要です。

したがって、共通テストで安定して得点が取れるようになっているにもかかわらず、いつまでも共通テストの対策をしているのは、あまり効率のいい勉強ではありません。

共通テストの問題を解いているとどうしても些末な違いにばかり目が向くようになってしまいます。その考え方が身についてしまうと、全体の流れやつながりにどうしても視点が向きにくくなっていきます。

共通テスト対策ばかりをしていると、視野が狭くなりがちだということはぜひ頭の片隅に入れておいてください。

二次試験の対策をしていても、当然その勉強は共通テストに生きてきます。

受験全体を考えたときに、どの勉強が一番総合点の上昇につながるかを考えて、そこに注力すべきだという観点は、常に持っていてほしいと思います。

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